サイナスリフトにて骨造成したインプラント症例ケース01

左側第2小臼歯、第1,2大臼歯部の歯牙破折、辺縁性歯周病ならびに根尖性歯周病症例(60歳代 女性)

左側第2小臼歯、第1,2大臼歯部 歯牙破折、辺縁性歯周病ならびに根尖性歯周病にて保存不可。
インプラント治療には上顎洞底までの骨厚みが薄く骨造成が必要な状態。抜歯後待機埋入を計画した。
歯がぐらぐらで、他院で抜歯後のことを相談したところ、入れ歯しかできないといわれて、インプラント治療ができないかと当クリニックを受診。両側の上下臼歯はほとんど温存できないことをお話しし、噛めるところは残しながらインプラント治療を受けたいとのことで、一か所ずつゆっくりと行うこととした。左側で噛めるうちに右側の上顎を抜歯し、抜歯から8か月、インプラント手術から6か月で上部構造が入り、インプラント補綴により咀嚼機能の回復ができ、喜んで頂けた。


CT画像。骨の厚みがほとんどなく、また洞底が凸凹している。
サイナスリフトによる骨補填に加え、プラットフォーム側にも骨造成が必要であることが分かる。


LANDmarker(iCAT)にてシミュレーションを実施した。
ワックスアップをデータに取り込みトップダウントリートメントに問題がないことを確認。


LANDmarker マルチガイド(iCAT)を用いた。


粘膜骨膜弁を作成しピエゾサージェリー(メクトロン社製)を用いて上顎洞の側壁に開窓を行っている。


上顎洞側壁を明示し、骨窓を展開した所見。


上顎洞側壁の骨窓形成後、その開窓骨をソケット用の鋭匙で、上顎洞粘膜とともに洞内に織り込んでいく。洞粘膜を傷つけないためには骨を擦るように、粘膜を骨面から剥離していくことが重要になる。


上顎洞の粘膜と側壁の骨が挙上されているのがわかる。十分に挙上してドリリングの時に粘膜などを傷つけないようにすることが重要である。


骨片(上顎洞側壁)と粘膜がスポンジ状の人工骨リフィット(京セラ)により、上方にある程度固定されているのでドリリングを容易に行える。Surgical Drill(iCAT)で2mmのドリリングを行っている。洞底を突き抜けるように骨をドリリングする。


開窓部とドリリングが終了した所見。骨片(上顎洞側壁)とドリリングにより空いた穴が観察できる。3本分のサイナスリフトであり、真ん中の1本は骨の厚みが1mmであることからある程度の骨窓を開けないといけない症例である。


インプラントの埋入を行う前にインプラント体の埋入位置よりも鼻腔側に人工骨の填入を行っている。人工骨の填入により、上顎洞の粘膜は上方に保たれ、インプラント体の埋入で傷つける可能性が低くなる。


POI EXインプラント(京セラ) HA Tapered Bone level (カラーM) 埋入サイズ:直径4.2mm/長さ10mmを#25部位に埋入している。この時点ではガイドを用いたドリリングの後にフリーハンドで埋入を行っており、計画と若干のずれを生じる。現在の形になるまでの過渡期の症例である。


POI EXインプラント(京セラ)HA Tapered Bone level (カラーM) 埋入サイズ:直径4.7mm/長さ10mmを#27部位に埋入している。
#26部位にはすでにHA Tapered Bone level (カラーM) 埋入サイズ:直径4.2mm/長さ10mmが埋入されている。上顎洞の厚みがないことから、#15,17は1回法であるが、#26では2回法を選択している。上顎洞への脱落を防ぐためインプラント径より1mm大きいワイドカバーを装着している。この時点ではガイドを用いたドリリングの後にフリーハンドで埋入を行っており、計画と若干のずれを生じる。現在の形になるまでの過渡期の症例である。


インプラント体が埋入された所見。人工骨により頬側骨の補填も行っている。埋入トルクは#25で35N/cm, #26で10N/cm,#27で20N/cmであった。
人工骨はアパセラム-AX(京セラ)とアローボーンβ 250μmm~1000μm(ブレーンベース)を混合し使用した。


骨窓部にはコーケンティッシュガイド(吸収性メンブレン)(KOKEN)を置き、骨補填材の溢出を防ぐこととした。骨膜が存在すればメンブレンを置く必要はないとの考えもあるが、サイナスリフトでの骨への血流はあくまで、鼻腔側からがメインであると考えるため骨膜と人工骨との直接的な相互関係を考えるとメンブレンを置いたほうが良いのではないかと考えている。


縫合後の所見。縫合糸は感染防止の観点からナイロン糸を使用している。#25,#27は1回法、#26は2回法とした。

手術内容:#25, #26 , #27 サイナスリフト同時インプラント埋入術
トルク:35N/cm (#15), 10N/cm (#26),20n/cm(#27)
麻酔:静脈鎮静・モニター下
局所麻酔:2%キシロカイン(1/80,000Epi) 9.0ml
手術時間:56分


 

埋入後、パノラマX-Pにて状況の確認を行った。ほぼ予定された部位に埋入されているが、埋入をフリーハンドで行ったことで若干のずれを生じているかもしれない。直視下でワイドカバーは骨面にフィットしていた。


最終補綴物装着時の確認Dental X-P


最終補綴物装着時の口腔内所見

サイナスリフト症例ではあるが、清掃性を考えて単独歯とした。このような症例でよく連結する場合があるが、インプラント周囲炎などの症状が万が一、生じた場合に、気づいたときには3本とも失うこともあるため、単独歯にすることが長期間を考えると患者さんのためになる。そのことは患者さんにも十分にお伝えすることも大切である。


最終補綴物装着時の口腔内所見

サイナスリフトを単独に行い、その後骨ができてからインプラント埋入手術を選択する術者も多いが、慎重に行えばワイドカバーなどを使うことで治療期間の短縮が可能となる。患者さんにとってはやはり、安全であれば早く、上部構造を入れて噛めるようにすることが重要である。その点では、同時埋入を積極的に行うことは良いと思うが、未熟な術者がサイナスリフト自体をするべきではないということを明記したい。
術後は良く噛めて機能面も十分に回復でき、患者さん自身も非常に喜ばれていました。他の不良補綴物や対側のインプラント治療も今後、行っていきたいとのことで、良かったと思っている。

 

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