サイナスリフトにて骨造成したインプラント症例ケース05

右側上顎第1大臼歯部 欠損(30歳代 男性)

他院でインプラント治療はできないと言われた。矯正治療も終了してきちんと噛みたいということを希望して当クリニックを受診された。

患者さんは、術後6か月でインプラント補綴により咀嚼機能の回復ができ、喜んで頂けた。

 


 

LANDmarker(iCAT)にてシミュレーションを実施した。

ワックスアップをシミュレーションデータに取り込み補綴主導に問題ないことを確認した。

 


 

埋入部位のCT画像。既存骨の厚みが薄くソケットリフトでは骨造成が難しいことが分かる。

※青色部分は骨造成のシミュレーション。

 


 

Landmark Guide 的心ガイド(iCAT)を装着し、サーキュレーションメスで上顎洞挙上術(サイナスリフト)の切開の位置を確認するために、インプラントの埋入部位を歯肉にサーキュレーションメスを軽く押しあてることで印記する。

 


インプラント埋入部位がサーキュレーションメスで印記されているのがわかる。これを参考にサイナスリフトのための切開を行う。

 


 

切開時は歯肉、骨膜を切開し、骨までしっかりと切開することが大切である。粘膜剥離は骨膜剥離子でしっかりと骨を擦ぐ様に剥離することが重要である。

 


 

ピエゾサージェリー(メクトロン)による上顎洞側壁に対する骨窓の作成。キャビテーションによる霧状水が観察できる。このキャビテーションにより術野が洗浄される効果もある。必要かつ十分な窓開けを行うことが重要となる。1歯のみのサイナスリフトではその範囲はあまり大きくない。上顎洞粘膜を術者の不注意で損傷することがないように十分に気を付ける。

 


 

 

上顎洞側壁の骨窓形成後の所見。開窓した骨がこの症例では、剥離されたため、骨は最終的に再挿入するために温存する。開窓した骨とシュナイダー膜が引っ付いている場合にはあえて骨を取らない場合も多い。上顎洞の挙上子を用いてシュナイダー膜を慎重に挙上しているのがわかる。この際もシュナイダー膜を損傷させないように上顎洞の底の骨を擦ぐ様に挙上させることが重要である。

 


 

サイナスリフト専用の剥離子でさらに挙上している。洞粘膜を傷つけないためには骨を擦るように、粘膜を骨面から剥離していくことが重要になる。上顎洞粘膜がインプラント埋入のドリルで傷つけないように、コラーゲンHA複合体でスポンジ状の人工骨であるリフィット(京セラ)を挿入して粘膜を上方でささえる。

 


人工骨によって上顎洞粘膜が上方に固定されているのがわかる。的心ガイドに沿ってドリリングを行うが、スポンジ状の人工骨であるリフィット(京セラ)で粘膜が上方に固定されているため、ドリリング時の洞粘膜の損傷を回避することができる。

 


 

インプラント体が埋入された後、アローボーンβ 1000μm~(ブレーンベース)を用いて骨補填を行っている。気孔率が高く優れた骨補填材であり、アパセラム-AX(京セラ)も混合している。

鼻腔側からの血流も考え、インプラントを埋入する前に鼻腔側にも骨補填を行うことが重要となる。

 


 

インプラントの埋入を行っている所見。インプラントタイプ及び埋入サイズ:FINESIA HA Tapered type 直径4.2mm/長さ12mm(京セラ)である。

的心ガイドを用いての埋入であり、シミュレーションと同様の位置、角度、深さでの埋入が可能になる。

 


 

インプラント体が20N/cmと良好な埋入トルクを得ることができたため、1回法として3mmのヒーリングアバットメントを装着した。上顎洞の側壁の部分での開窓部にはKOKEN吸収性メンブレンを置き人工骨の流出と骨膜に直接触れないようにする。(触れても問題はないと思われるが骨膜の強化としての意味もある)

 


 

縫合後の所見。縫合糸は感染防止の観点からナイロン糸を使用している。

手術内容:右側上顎第1大臼歯(#16) サイナスリフト同時インプラント埋入術

トルク:20N/cm (#16)

麻酔:笑気ガス・モニター下

局所麻酔:2%キシロカイン(1/80,000Epi) 5.4ml

手術時間:32分

 


 

埋入後、パノラマX-Pにて状況の確認を行った。予定された部位に埋入されている。また。上顎洞は人工骨で骨が充填されており問題ない。

 


 

印象採取時の確認Dental X-Pならびに最終補綴物装着時の確認パノラマ X-P

 


 

最終補綴物装着時の口腔内所見

スクリューリテインの補綴としている。第1大臼歯は、咀嚼機能の要でもあり、その機能回復は重要である。サイナスリフトは十分な経験と確実な方法で行うことで、十分に機能できるインプラント補綴が可能である。

 

 

 

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