ソケットリフトにて骨造成したインプラント症例ケース03

右側上顎第2小臼歯(#15)欠損
40歳代 女性

右側上顎第2小臼歯を他院で抜歯され、他の部位も含めて歯科治療を希望され当クリニックを受診された。根尖性歯周病で右側上顎第2小臼歯を抜歯したとのことであった。歯槽頂から上顎洞までの距離が少し足りないことをお話しし、ソケットリフト併用でインプラントの埋入手術をさせていただくことを説明した。ソケットリフトを行っても、手術の平均時間は15分程度であること、人工骨を使用すること、その人工骨は自分の骨に置き換わることなども併せて説明した。患者さんは、インプラント埋入後3か月でインプラント補綴により咀嚼機能の回復ができ。喜んで頂けた。


LANDmarker(iCAT)にてシミュレーションを実施。ワックスアップを取り込み、将来の上部構造の位置を確認して埋入位置を計画。


右側上顎第2小臼歯(#15)のCT画像。φ3.7mm、L10mmのインプラント埋入を計画。ソケットリフトを行うため、骨補填のシミュレーションも実施した。


Landmark Guide マルチガイド(iCAT)を口腔内に適合させた所見。この時点では内筒に金属がないタイプであるが現在は、金属が付与されている。前後の歯との一部分に窓が開けられており、適合が確認できる。適合のみならず、インプラント埋入部位の粘膜が固有歯肉内に収まるかどうかを確認することも大切である。


サーキュレーションをLandmark Guide マルチガイド(iCAT)に合わせて、固有歯肉を切開している所見。歯肉ならびに骨膜を切開して骨にまでしっかりと切開を行う。手の感覚を大切にする。高回転で行うと歯肉に熱が加わり、歯肉粘膜を熱傷させることにもなるので、行わない。


マルチガイド(iCAT)の内筒が直径3.4mm用のサーキュレーションメスにうまく適合するため、これを用いることができる。FINESIA的心 サーキュレーションメス直径3.4mm(京セラ)を用いてインプラント埋入部位の歯肉を丸く切開した所見。歯肉が丸く切開されているのがわかる、出血は全くない。埋入インプラントは直径3.7mmを埋入するが1ランク小さな直径で切開することは全く問題ない。


サーキュレーションメスにおける歯槽提粘膜の切除した所見。出血はほとんどない。


FINESIA HA Tapered type 直径3.7mm/長さ10mm(京セラ)をソケットリフトを伴う骨造成をし、埋入する計画を立てた。Landmark Guideのマルチガイド(iCAT)を適合させ、直径2.0mm用のドリルキーをガイド穴に挿入しSurgical Drill 直径2.0mm(iCAT)でドリリングを行う。


Surgical Drill 直径2.0mm(iCAT)で目盛りを見ながら、洞底の直前までをドリリングする。目盛りを必ず、直視すること。ドリリングを慎重に行うことは言うまでもない。


上顎洞に穿孔させるために、上顎洞への骨造成ソケットリフト用のCASKIT(オステム)を用いて穿孔させる。先端のドリルの形状が特殊なために骨のみが切削され、上顎洞の粘膜は傷つきにくい。ストッパーも1mmごとに用意されており、使い方を厳密に注意して行えば洞粘膜の損傷はない。ソケットリフト用のCASKIT(オステム)の従来のプロトコールでは粘膜骨膜弁を作成して骨面で行うが、私は、歯肉を切開せずに行うフラップレスで行う。そのため歯肉から洞底までの距離をシミュレーション上で計測し、注意してドリリングを行う。ストッパーの役目も重要になってくる。


上顎洞底の骨を穿孔し、インプラント形成窩の先が粘膜のみになっていることを確認したら、生理食塩水を1mlのシリンジに入れて、水圧による洞粘膜の挙上を行う。ゆっくりと洞粘膜のバックプレッシャーを感じながら圧をかけることが重要である。
粘膜に破れがなければ、シリンジを引くことで血液が逆流してくるが、もし、破綻しておれば、空気が返ってくることになる。洞粘膜の損傷はないことを確認すれば、人工骨を洞粘膜と洞底部に補填することになる。モスキートを用いて正確に把持する。


アローボーンβ 250μm~1000μm(ブレーンベース)とアパセラム-AX(京セラ)を混合して、人工骨とし洞粘膜と洞底部に補填する。補填する骨に関しては、2種類の人工骨の混合やコラーゲン・HA複合体であるリフィット(京セラ)などを使用することがある。骨をインプラント埋入窩まで運ぶためのキャリアは感染防止の点でも有用である。


人工骨であるアローボーンとアパセラム-AXを混合したものをインプラント形成窩に充填した所見。

その後、ソケット専用にプラガーにて,ところてんを作るがごとく骨を上顎洞に補填していく。


ソケット専用にプラガーにて人工骨を上顎洞に補填していっている所見。上顎洞粘膜を人工骨で損傷しないように愛護的に骨を送り込む。以前のプロトコールではマレットで鎚打する手技もあるが、本システムではその必要もなく、ゆっくりと圧をかけるように押し出す。乱暴にすると洞内に骨が入った途端に上方に急速に押し出されるようになるためあくまで愛護的に行うことが必要である。


インプラントをインプラント窩に沿うような形で埋入していく。マルチガイドで3.7mmの埋入ができないためフリーハンドでの埋入になっておるが、インプラント窩の骨に誘導され、位置や方向がずれることはない。深度に関しては、歯肉からの距離で決定し、埋入後、周囲の骨を探針などで確認することが重要である。

インプラントタイプ及びサイズ:FINESIA HA Tapered type 直径3.7mm/長さ10mm(京セラ)


インプラント体が埋入されたときの所見。埋入トルクは25N/cmであった。


手術終了時の所見。

手術内容:右側第2小臼歯(#15)ソケットリフトによる上顎洞への骨造成を伴うインプラント埋入術
埋入トルク:25N/cm (#15)
麻酔:笑気ガス鎮静・モニター下
局所麻酔:2%キシロカイン(1/80,000Epi) 3.6ml
手術時間:14分


埋入後、パノラマX-Pにて状況の確認を行った。インプラントは予定された部位に埋入され、上顎洞が挙上されているのがわかる。


最終補綴物装着時の確認Dental X-P


最終補綴物装着時の口腔内所見

ソケットリフト症例ではあるが、直径4.7mmと十分な太さで咬合に関しても全く問題ないと考える。


最終補綴物装着時の口腔内所見

以前から、述べているかソケットリフトは、比較的、容易な上顎洞への骨造成である。しかし、シュナイダー膜が破れた場合に、どのように対応するかなど、十分なリカバリーの手技を持たないものが行うと、上顎洞炎などを生じる結果にもなるため十分な経験を持ったものが行うべきであると考える。

患者さんは、ソケットリフトを併用したものの全く鼻症状もなく、術後は全く問題なく痛み止めも飲まずに過ごせたと術後に感想を述べられていました。インプラントの上部構造(歯に部分)を入れた後は、見た目にも満足し、良く噛めて機能的にも十分に回復でき、喜ばれていました。

 

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