ソケットリフトにて骨造成したインプラント症例ケース04

右側上顎第1大臼歯(#16) 欠損 (40歳代 女性)

右側上顎第1大臼歯を他院で抜歯されたが同部のインプラント治療はできないと言われ、インプラント治療を希望して当クリニックを受診された。歯槽頂から上顎洞までの距離が少し足りないことをお話しし、ソケットリフト併用でインプラントの埋入手術をさせていただくことを説明した。ソケットリフトを行っても、手術の平均時間は15分程度であること、人工骨を使用すること、その人工骨は自分の骨に置き換わることなども併せて説明した。患者さんは、インプラント埋入後4か月でインプラント補綴により咀嚼機能の回復ができ、喜んで頂けた。

 


 

LANDmarker(iCAT)にてシミュレーションを実施。ワックスアップを取り込み、将来の上部構造の位置を確認して埋入位置を計画。

 


 

右側上顎第1大臼歯(#16)のCT画像。φ4.2mm、L12mmのインプラント埋入を計画。ソケットリフトを行うため、骨補填のシミュレーションも実施した。

 


 

Landmark Guide 的心ガイド(iCAT)を口腔内に適合させた所見。前後の歯との一部分に窓が開けられており、適合が確認できる。適合のみならず、インプラント埋入部位の粘膜が固有歯肉内に収まるかどうかを確認することも大切である。サーキュレーションメスでインプラント埋入部位を確認し同部が固有歯肉であることも確認する。

 


 

サーキュレーションメスをLandmark Guide 的心ガイド(iCAT)に合わせて、固有歯肉を切開している所見。歯肉ならびに骨膜を切開して骨にまでしっかりと切開を行う。手の感覚を大切にする。高回転で行うと歯肉に熱が加わり、歯肉粘膜を熱傷させることにもなるので、行わない。サーキュレーションメスにおける歯槽提粘膜の切除した所見。出血はほとんどない。

 


 

FINESIA HA Tapered type 直径4.2mm/長さ12mm(京セラ)をソケットリフトを伴う骨造成をし、埋入する計画を立てた。Landmark Guideの的心ガイド(iCAT)を適合させ、Surgical Drill でドリリングを行う。この時、深さは上顎洞底の1mm前でとなる位置に設定されている。

 


 

上顎洞に穿孔させるために、上顎洞への骨造成ソケットリフト用のCASKIT(オステム)を用いて穿孔させる。先端のドリルの形状が特殊なために骨のみが切削され、上顎洞の粘膜は傷つきにくい。ストッパーも1mmごとに用意されており、使い方を厳密に注意して行えば洞粘膜の損傷はない。ソケットリフト用のCASKIT(オステム)の従来のプロトコールでは粘膜骨膜弁を作成して骨面で行うが、私は、歯肉を切開せずに行うフラップレスで行う。そのため歯肉から洞底までの距離をシミュレーション上で計測し、注意してドリリングを行う。ストッパーの役目も重要になってくる。

 


 

上顎洞底の骨を穿孔し、インプラント形成窩の先が粘膜のみになっていることを確認したら、生理食塩水を1mlのシリンジに入れて、水圧による洞粘膜の挙上を行う。ゆっくりと洞粘膜のバックプレッシャーを感じながら圧をかけることが重要である。

粘膜に破れがなければ、シリンジを引くことで血液が逆流してくるが、もし、破綻しておれば、空気が返ってくることになる。洞粘膜の損傷はないことを確認すれば、人工骨を洞粘膜と洞底部に補填することになる。モスキートを用いて正確に把持する。

 


 

以前は、初めから顆粒状の骨を入れていたが、シュナイダー膜を愛護的に挙上したいと考え、まずスポンジ状の骨であるコラーゲン・HA複合体であるリフィット(京セラ)を挿入する。

 


 

アローボーンβ 250μm~1000μm(ブレーンベース)とアパセラム-AX(京セラ)を混合して、人工骨とし洞粘膜と洞底部に補填する。補填する骨に関しては、2種類の人工骨の混合したり、リフィットと混合して使用することがある。骨をインプラント埋入窩まで運ぶためのキャリアは感染防止の点でも有用である。右は人工骨であるアローボーンとアパセラム-AXを混合したものをインプラント形成窩に充填した所見。

 


 

その後、ソケット専用にプラガーにて,ところてんを作るがごとく骨を上顎洞に補填していく。教えゲラれたところである。顆粒状の骨がソケットの周囲に存在するとオステオインテグレーションの妨げになることもあり、十分にチェックすることも重要である。

 


 

インプラントを的心ガイドに沿う形で埋入していく。的心ガイドで4.2mmのインプラントを位置、方向そして深さまで規定して埋入する。

インプラントタイプ及びサイズ:FINESIA HA Tapered type 直径4.2mm/長さ12mm(京セラ)

 


 

インプラント体が埋入されたときの所見。埋入トルクは20N/cmであった。

 


 

手術終了時の所見。

手術内容:右側第1大臼歯(#16)ソケットリフトによる上顎洞への骨造成を伴うインプラント埋入術

埋入トルク:20N/cm (#16)

麻酔:笑気ガス鎮静・モニター下

局所麻酔:2%キシロカイン(1/80,000Epi) 3.6ml

手術時間:16分

 


 

埋入後、パノラマX-Pにて状況の確認を行った。インプラントは予定された部位に埋入され、上顎洞が挙上されているのがわかる。上部構造の装着後では上顎洞粘膜下に十分な骨質を持った骨が出来上がっているのが観察される。

 


 

最終補綴物装着時の口腔内所見

ソケットリフト症例ではあるが、直径4.2mmと十分な太さで咬合に関しても全く問題ないと考える。

ソケットリフトは、比較的、容易な上顎洞への骨造成である。しかし、シュナイダー膜が破れた場合に、どのように対応するかなど、十分なリカバリーの手技を持たないものが行うと、上顎洞炎などを生じる結果にもなるため十分な経験を持ったものが行うべきであると考える。

インプラントの上部構造(歯の部分)を入れた後は、良く噛めて機能的にも十分に回復でき、喜ばれていました。

 

 

 

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