上顎抜歯即時インプラント症例ケース03

左側犬歯 歯根破折による抜歯即時症(50歳代 女性)

歯根の破折(矢印部)があり、周囲にX線透過像を認める。崩壊があり、根尖部の病巣も認める。排膿もあり、保存不可能と診断した。
抜歯即時でインプラントを埋入することでTEKの期間も4か月と比較的短く済み、患者さんも喜んでおられた。ただ、前後の歯にセラミッククラウンが入っていたためTEKの固定に留意した症例である。前後がセラミックであるからといって安易にブリッジにすると、フロスによる清掃もできないことから選択は慎重にすべきと考える。


LANDmarker(iCAT)の画像。抜歯即時埋入のため、CT撮影時には歯根が残った状態でシミュレーションを実施。
初期固定を得るため、上顎洞の洞底にインプラントの先端が届く方向・長さを選択。
ドリリングの方向を誤ると、隣在歯の歯根との接触・洞底穿孔のリスクがあり、フリーハンドでは難しい症例。
口蓋側にインプラント辺縁までの高さに及ばない部分があり、頬側の歯槽骨までにギャップがあるため、骨の補填を計画した。
また、先端の骨密度が低いと予想されるため、ドリルの回転数を上げすぎないよう注意が必要。


iCATから送られてくるドリルプロトコル。手順を間違えないよう、術中も確認する。図示されており、術中の確認も容易である。


LANDmarker(iCAT)にワックスアップを取り込み、アクセスホールの位置も確認。
補綴主導のインプラントとしての問題もないことを確認している。このように切端にインプラントの方向が出る時は、最終補綴をスクリューリテインにするかセメントリテインにするかは最終補綴の時に決定することも少なくない。


破折が著しく、保存は不可能である。歯槽骨(特に唇側)を温存させることに注意して抜歯を行う。


左側犬歯の抜歯後所見。 抜歯窩で口蓋側の骨は十分にあることがわかる。


POI-EX直径4.2mm/長さ14mm(京セラ)を埋入する計画を立てた。Landmark Guide(iCAT)を用い、的心パイロットドリル step1 直径3.4mm(京セラ)でドリリングを行う。ガイドを手指できちんと抑えて固定することが重要である。


Landmark Guide(iCAT)の京セラ対応のカスタムガイドを用い、的心ガイドドリル 2step 直径3.4mm(京セラ)でドリリングし拡大形成を行う。ガイドに沿ってドリリングされているのがわかる。ここで、ドリルとガイドがこすれるような音がした場合には、角度がずれていることが考えられる。スムースにドリリングできることが重要である。


Landmark Guide(iCAT)を用い、的心ガイドドリル 3step 直径4.2mm(京セラ)でドリリングし拡大形成を行う。


Landmark Guide(iCAT)を用い、的心ガイドドリル 4step 直径4.2mm(京セラ)でドリリングし最終形成。


 

最終形成の後、ドリリングによって得られる骨を鋭匙で採取している。自家骨は患者さん自身の骨細胞を採取できることから、きめ細かく採取することも重要である。的心のドリルは骨の採取にも有用である。


インプラント埋入窩形成後、インプラントの埋入を行う。(埋入サイズ直径4.2mm/長さ14mm)ストッパーがついており適切な深さでの埋入が可能になる。インプラント体がガイドに誘導されながら適切な位置・方向で埋入される。


ガイドを外し、抜歯窩の状態、インプラントと既存骨とのギャップの距離、口蓋側の骨の高さや唇側の高さ、欠損、骨とのギャップなどについても短針などで探ることになる。


ヒーリングアバットメント装着後の所見。唇側の骨とインプラント体の間にギャップがあるのがわかる。


骨とインプラント体とのギャップに先ほど採取した自家骨で骨補填を行う。自家骨に勝るものはなく、採取をこまめにすることも重要と考える。


インプラント埋入窩から、自家骨がこぼれ出ないように縫合する。

手術内容:#23 抜歯術・抜歯後インプラント埋入術 トルク 20N/cm
麻酔:笑気鎮静・モニター下 局所麻酔2%キシロカイン(1/80,000Epi) 3.6ml
手術時間:16分


埋入後、パノラマX-Pにて状況の確認を行った。予定された部位に埋入されている。


印象採得時と最終補綴物装着時の確認Dental X-P


最終補綴物装着時の口腔内所見


最終補綴物装着時の口腔内所見

患者さんはインプラント治療を初めて受けられたが、手術も短時間で終わり、抜歯と同時に手術を受けることができ、自家骨がつかえたこともうれしかったとお話ししておられました。審美的にも満足していただけている。他の部位も含め、年齢的なこともあり歯周病、インプラント周囲炎の予防のためのメンテナンスが重要になってくる。

 

 

ピックアップ記事

  1. 右側第一、第二大臼歯部の欠損(50歳代 男性)他院でインプラント治療はできないと言われ、…
  2. 右側下顎第2小臼歯ならびに第1大臼歯、左側第1、2小臼歯ならびに第1大臼歯の欠損症例 (50歳代 女…
  3. 右側下顎第1大臼歯、根尖性歯周病により保存不可と診断、抜歯後2か月での待機埋入症例 (30歳代 女性…
歯科医院ホームページ作成
PAGE TOP
CLOSE
CLOSE