上顎抜歯即時インプラント症例ケース05

左側中切歯 歯根破折による抜歯即時症例(40歳代 女性)

左側中切歯の歯根が破折しており、保存不可能と近医で言われ、当クリニックにインプラント治療を希望して来院された。抜歯即時にするか待機埋入にするかについては、周囲の骨の残存状態や感染の有無を考慮して決定する。
患者さんは、約4か月で左側の中切歯をインプラント補綴で、右側の中切歯を神経温存のためにラミネートべニアで、両側側切歯はセラミッククラウンで補綴を行ったことにより審美性や咀嚼機能の回復ができ、喜んで頂けた。


LANDmarker(iCAT)にてシミュレーションを実施した。
左側中切歯(#21)部のワックスアップをデータに取り込み基底結節にインプラント体の方向が来るように設計。最終的に上顎側切歯、中切歯を歯冠補綴物ならびにラミネートべニアで治すことから、現在の模型ではなくワックスアップの模型を読み込むことが最終補綴を考えると重要になる。
審美領域ということもあるが、上部構造の位置・形状がシミュレーション時に表示されると非常に診断がしやすい。


CT画像。両隣在歯の歯根が近く、狭いスペースへの埋入となることが分かる。
抜歯即時埋入となるため、ドリルが流されやすかったり出血でドリルの起始点が見にくかったりすることが予想され、サージカルガイドの利用が有効である。


破折した左側中切歯の歯根を抜歯している所見。唇側の歯槽骨を温存させることに注意して抜歯を行う。抜歯後の唇側の骨保存が非常に重要である。


抜歯後の口腔内所見 唇側の骨も温存されている。


Landmark Guide(iCAT)のマルチガイドを用い、直径2mmのパイロットドリルでドリリングを行っている。ガイドを手指できちんと抑えて固定することが重要である。


Landmark Guide(iCAT)のマルチガイドを用い、直径3mmのドリルで拡大していく。


インプラント埋入窩が形成できれば、インプラントの埋入を行う。
インプラント埋入サイズ:FINESIA Bone Level HA Tapered type(京セラ)直径3.4mm/長さ10mm
FINESIA(京セラ)直径3.4mm用インプラントドライバーがマルチガイドのガイドチューブに挿入可能である為、
インプラント体がガイドに誘導されながら適切な位置・方向で埋入されている。ストッパーがついており適切な深さでの埋入が可能になる。


サージカルガイドを外し、抜歯窩の状態、インプラントと既存骨とのギャップの距離などを視診、触診で判断する。出血はほとんどない。


唇側の骨とインプラント体とのギャップに人工骨アパセラム-AX(京セラ)とアローボーンβ250-1000μm(ブレーンベース)を混合し、骨補填する。
写真では確認できないが、カバースクリューを装着して骨補填を行っている。


唇側の骨とインプラント体とのギャップに人工骨で骨補填する。ギャップが2mm未満であれば人工骨の補填は必要ないとの考え方もあるが、血流も考慮しながら過密にならないように骨補填を行うほうが予知性は上がると考える。この際に、ヒーリングアバットメントではなくカバースクリューを装着して行うほうが確実に行える。


唇側の骨とインプラント体とのギャップへの人工骨補填。


唇側の骨とインプラント体とのギャップへの人工骨補填後の口腔内所見。ヒーリングアバットメントではなくカバースクリューが装着されている。


最終的には吸収するができるだけ唇側に骨を作るために、HAとコラーゲンの複合体であるスポンジ状の人工骨リフィット(京セラ)を追加添加する。


ヒーリングアバットメント装着後時の所見。人工骨を動かさないようにカバースクリューとヒーリングアバットメントを交換する。


TEKを装着する関係でヒーリングアバットメントは4mmとし歯肉縁よりやや下になるようにし、骨補填材が、インプラント埋入窩から、こぼれ出ないようにアテロコラーゲン・テルプラグ(モリタ)を挿入し縫合する。

手術内容:#21 抜歯術・抜歯後インプラント埋入術
トルク:20N/cm
麻酔:笑気鎮静・モニター下
局所麻酔:2%キシロカイン(1/80,000Epi) 3.6ml
手術時間:14分


埋入後、デンタルX-Pにて状況の確認を行った。予定された部位に埋入されている。


印象採取時の確認Dental X-P


最終補綴物装着時の確認Dental X-P


最終補綴物装着時の口腔内所見

来院時、歯根破折により止むを得ず抜歯となったが、隣の歯を削ってブリッジにするという治療よりも、インプラント治療を行い、審美性を確保し機能回復できた。臨在歯の右側中切歯は生活歯であり、審美性の向上のために神経を温存するラミネートべニアによる歯冠修復を選択しました。治療後は審美面・機能面も回復できました。


最終補綴物装着時の口腔内所見

「歯科技工所の中田デンタルのコメント」
左側中切歯部のインプラント補綴部はジルコボンド、両側クラウン部もジルコボンド、右側中切歯はセラミックによる補綴治療を行っている。
e-maxラミネートべニアとジルコボンドを同時setだった事もあり、ラミネートのセット後の色調変化をある程度予測し疑似支台を製作し作業をした。多少ラミネートの色調が濃くなってしまったが患者様の希望範囲内に収める事ができ、素材の違う製品であったが表面の質感を合わせる事ができた。
べニアとコンビの場合はやはり先にベニアをsetした方がより良好な結果が得られると感じた。

 

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