下顎多数歯欠損インプラント症例ケース01

右側下顎第1小臼歯、第1大臼歯、左側第1小臼歯が根尖性歯周炎、辺縁性歯周病ならびに歯根破折による歯の温存不可能症例(40歳 女性)

左側大臼歯部は欠損状態。
右側では第1大臼歯の動揺と排膿を認め、第1小臼歯では歯根の破折を認めた。左側の第1小臼歯は根尖性歯周炎で咬合痛を認め、痛みで十分に咀嚼ができず。食事が苦痛とのことであった。左側臼歯部も欠損しており、咀嚼機能の低下が「認められた。
上顎もインプラント補綴を行っており、きっちりと治していきたいとのことであった。下顎にインプラント治療を行うことで咀嚼機能の回復ができ、喜んで頂けた。食事が楽しみになり、体重も増えて、「インプラントしてなんでも食べれるようになったら太っちゃいました。ダイエットしないと!」とおっしゃりながら嬉しそうでした。


LANDmarker(iCAT)の画像。インプラント体はできるだけ同じ埋入方向の方がドリリングしやすいが、この症例ではインプラント体の方向が骨と最終補綴を意識し適切に選択した。
サージカルガイドを使用することで、方向の違いに惑わされることなく正確に形成ができる。


LANDmarker(iCAT)による埋入シミュレーション画像。これはパノラミック断面のレイサム画像。
後述するが、左側第2小臼歯部#35は埋入を見送ることとなり、右側臼歯部2本、左側臼歯部2本毎(#46,#44,#34,#36)4本を埋入した。


LANDmarker(iCAT)による埋入シミュレーション画像。
右側第1小臼歯部(#44)では抜歯窩での明らかな骨の回復は未だみられない。抜歯窩のその後の変化を予測してできるだけ骨の多い位置を選んだ。


LANDmarker(iCAT)による埋入シミュレーション画像。左側第2小臼歯部(#35)。同部では骨欠損の状況が大きいのが分かる。埋入計画を立てたものの、手術時に目視でも骨がなければ埋入を見送ることとし事前にその旨を説明した。


LANDmarker(iCAT)による埋入シミュレーション画像。左側第1大臼歯部(#36)。
下顎管までの距離が近く、長さ6mmのインプラントを選択した。サージカルガイドで正確に埋入できるようになったが、下顎管との距離を考慮し、リスクのない治療計画とする。
第2小臼歯部の骨欠損を含めて、垂直的な骨造成を考えるという選択もあるが、噛めるようになることが重要であり、患者さんと骨造成も含めて予知性、期間、その他もろもろのことを話しして治療方針をシミュレーションし決定することが重要である。骨造成、GBRなどを行うのであれば、どのような手術なのかを写真などでもお見せして行うかどうかを相談するのがよいと考える。


的心ガイド(iCAT)を装着した所見、ガイドを安定させるために抜歯する予定の第3大臼歯などもインプラント埋入までは温存する。


右側は、FINESIA Bone Level HA Tapered type(京セラ) 直径4.2/長さ10mm(#46)、直径3.4/長さ10mm(#44) の2本埋入する計画とした。サーキュレーションメスは的心ガイドにドリルキーを入れ、直径3.4で行った。このことにより可動粘膜までの固有歯肉の幅が確保できる。


サーキュレーションメスによって、固有歯肉のインプラント埋入部位に粘膜の開窓を行った。可動粘膜までの固有歯肉の幅が確保できている。


的心ガイド(iCAT)を用い、的心パイロットドリル step1 直径3.4mm(京セラ)でドリリングを行う。


的心パイロットドリル(京セラ)挿入時。ストッパーまで確実にドリリングすることでインプラントの深さは適切なものになる。


#46部に直径4.2mm/長さ10mmを埋入する為、的心ガイドドリル(京セラ)直径4.2mm用にて最終形成を行う。


#44部には、直径3.4/ 長さ10mmの埋入を行うために、的心ガイドドリル(京セラ)3.4mm用にて最終形成を行う。


#46部にインプラント埋入窩形成後、インプラントの埋入を行う。(埋入サイズ直径4.2mm/長さ10mm)


#44部にインプラント埋入窩形成後、インプラントの埋入を行う。(埋入サイズ直径3.4mm/長さ10mm)インプラント体がガイドに誘導されながら適切な位置・方向で埋入されているのがわかる。ストッパーまで確実に入れることで計画通りの埋入深度を得ることができる。


左側は、FINESIA Bone Level HA Tapered type(京セラ) 直径3.4/長さ12mm(#34)、直径4.7/長さ6mm(#36) の2本埋入する計画とした。歯槽提の幅がなく、メスにて切開してインプラント体の周囲に固有歯肉を確保するように切開、粘膜骨膜弁の作成を行った。抜歯窩が観察できる。


的心ガイド(iCAT)を用い、 的心パイロットドリル step1 直径3.7mm(京セラ)にてドリリングを行っている。


#36部にインプラント埋入窩形成後、インプラントの埋入を行う。(埋入サイズ直径4.7mm/長さ6mm)
#35部は骨の吸収が著しく、埋入により初期固定が得られないと判断し、ブリッジタイプとした。このことは可能性として患者さんに伝えており、予測範囲内であった。


#34部にインプラント埋入窩形成後、インプラントの埋入を行う。(埋入サイズ直径3.4mm/長さ12mm)インプラント体がガイドに誘導されながら適切な位置・方向で埋入されているのがわかる。ストッパーまで確実に入れることで計画通りの埋入深度を得ることができる。


インプラント埋入後の所見。#35に骨欠損を認める。


インプラント埋入後の所見。#35の骨欠損部と、#34部の若干の頬側の骨不足に対して自家骨の粉砕骨を補填した。


両側下顎臼歯部に埋入を行い、ヒーリングアバットメントを付けた口腔内所見。出血などはほとんどない。

手術内容:#46,44,34,36 インプラント埋入術
埋入トルク:30N/cm(#46),20N/cm(#44), 35N/cm(#34), 30N/cm(#36)
麻酔:笑気鎮静・モニター下
局所麻酔:2%キシロカイン(1/80,000Epi) 3.6ml
手術時間:32分


埋入後、パノラマX-Pにて状況の確認を行った。予定された部位に埋入されている。


印象採得時の確認Dental X-P


最終補綴物装着時の口腔内所見。
治療後噛めるようになったと喜んでいただけた。


最終補綴物装着時の口腔内所見。
術後は良く噛めて機能面も十分に回復でき、患者さん自身も非常に喜ばれていました。重度の歯周病で歯を失ったことから、十分にメンテナンスを含め管理していく必要があると思われる。

 

 

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