インプラント治療の成功基準の歴史的背景

インプラント成功基準に関するガイドラインが以前より世界の会議で話し合われてきた。その、国際的成功基準を時代別に示すと以下のようになる。

1988年のトロント会議は、世界中の著名なインプラントをする医師・歯科医師が集まってコンセンサスレポートを打ち出したことで知られる。この会議の結果、「5年85%、10年80%以上の生存」を成功の基準として認め、世界的にチタン製のインプラントが開発・利用されるようになり、安全かつ予知性の高いインプラントの時代が到来したとも言える。それまでの基準は、オステオインテグレーションを基本としておらず、その意味において歴史的な基準と言える。

●NIH ハーバード会議(1978)

  • 各方向に1mm以下の動揺は許容する
  • エックス線学的に観察される透過像は基準にならない
  • インプラントの垂直的な高さの1/3以下の骨吸収は許容する
  • 治療不可能な歯肉炎、炎症および感染がない ・隣在歯には損傷がない ・知覚異常や知覚鈍麻(脱失)がない
  • 75 %以上の症例が5年間機能する

●Albrektssonら(1986)

  • 検査時に、個々の連結されていないインプラントは動揺しない
  • エックス線学的にインプラント周囲に透過像を認めない
  • インプラント埋人後1年以降の経年的な垂直的暫吸収は0.2mm以下である
  • インプラントによる持続的および非可逆的な徴候や症状(疼痛、感染、神経麻痺、知覚異常、下顎骨損傷など)がない
  • 上記の条件下で、 5年成功率85%が最低の成功基準とする
【コメント】
これはこの時代の基準で、このすべての許容された範囲は現在においては不成功に当たる。

 ●現代のインプラント成功の基準 (トロント会議, 1988年)

  • インプラントは,患者と歯科医師の両者が満足する機能的,審美的な上部構造をよく支持している
  • インプラントに起因する痛み,不快感,知覚の変化,感染の兆候などがない
  • 臨床的に検査するとき,個々の連結されていないインプラントは動揺しない
  • 機能開始1年以降の経年的な1年ごとの垂直的曽吸収は平均0.2mm以下である

 

その後、2008年にThe Toronto Osteointegratio Conference Revited 2008.5.8-10が開催された。その会議に新谷も出征したが、そこでは、いかに安全に、確実に、予知性を少しでも高めるために何をするのかTreatment planning と Patient Centeredが大きな議題であった。①インプラント外科においてはAutograft=golden standard であるが、Xerograft→より早期に成熟した骨を造成するためのGrowth factor (BMP, rh-PDGF)研究と安全な手術のためのPiezosurgery, Navigation surgery systemの導入。

②インプラント補綴では、Short implantを成功に導くために咬合負荷と、骨質やオステオインテグレーション、インプレント体にかかる応力など多因子が関与今後の課題なり、CAD-CAMシステムによるオーダーメードabutmentの実用化。埋入されたインプラント体と理想的な補綴物との間を理想的な角度でつなぐことができるabutmentをコンピューター上で設計し、作成することが議論された。③Early loadingを含む患者中心の治療のための治療計画とその信頼性。患者中心のインプラント治療→早期に機能=early loadingのためにEBMが必要、④材料学とインプラント周囲骨の微小環境に関する基礎的な研究としてインプラント周囲骨の微小環境や個人差に関する研究、特に軟組織との結合などが議題になった。

 

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