患者さんへのインプラント治療の説明

噛めることは、食べることは『口福』幸せであることを、歯科医療従事者自身が知らないといけないと思います。

口、歯の機能は何かを考えます。

消化管・呼吸器の入口である口は、食べる・のむ・話すといった機能を司どり、生活の質に深く関係することを再認識してください。

そして歯に関しては咀嚼の機能が重要です。咀嚼とは、食べのもを認識し、口に運び、それを歯で噛み、すりつぶして唾液と混ぜ、食塊とし、それを嚥下して胃に運ぶ一連の過程です。歯を失うとこの機能が失われることを認識しないと患者さんへの説明はできません。

良く噛むことの効果

  1. 顎を発達させ歯を上部にする
  2. 噛み砕くことで消化を助ける
  3. 唾液の分泌を促進する。唾液の分泌により胃酸を中和する
  4. 大脳を刺激し認知症を予防する
  5. 集中力を高め、同時にストレスを緩和する
  6. 少量の食品でも満腹感が得られ肥満防止につながる

特に最近、問題になっている認知症などの脳の機能と咀嚼・噛むことそして歯の数との関連を知っておくことも大切です。

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今年2016年の4月に浜松医大の先生が研究されたデータでは、歯の数と痩せのリスク:高齢者では生死・要介護に関する重要なことと報告されました。

歯が 19 本以下で、痩せのリスク 1.5 倍

高齢者の体重減少・痩せは、死亡や要介護のリスクを高めると考えられています。したがって、高齢者の体重減少・痩せと関係する要素を明らかにし、痩せを予防することが重要です。

そこで私たちは、歯の本数に着目しました。約 10 万人の高齢者の 大規模データを用いて、「残っている歯の本数、食品の摂取頻度」と「最近6か月の 体重減少、痩せ」との関連を検討しました。

その結果、残っている歯の本数(残存歯) が 19 本以下の場合、「男性では痩せのリスクが約 1.5 倍」「男女ともに、最近6か月以内の体重減少のリスクが約 1.2 倍」に上がることが示されました。

高齢期の痩せ予防のために、定期的な歯科健診や歯の治療など適切な口腔ケア、そして調理法を工夫した食事などが必要です。

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噛むために大切な歯を失ってしまったら 各治療法のメリット・デメリット

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放置した場合のデメリットは先ほどから説明していますように噛むことに対する不自由さがあります。その他に隣在歯の移動、対合歯の挺出。周囲への歯垢沈着、咬合平面の乱れ、額間接に対する影響についても患者さんに伝えることが大切です。

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ブリッジに関しては下のスライドに示すような長所・短所がありますが、まず、支台歯をブリッジの平行性を確保するために歯質を切削しないといけないこと、生活歯であった歯牙が失活歯になるリスクがあることなどを患者さんに示すことが重要です。

患者さんは自分の歯がどれだけ削られるのかということは知りません。それを正直にお話しする義務が歯科医療従事者にはあると思います。

私は、ブリッジはよほどの理由がある場合以外にはしません。ブリッジにするのであれば義歯で対応します。それが家族に対する治療だと信じます。

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ブリッジではどれだけ歯を切削するかを患者さんに正直にします必要があります。

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ブリッジは60年以上前から行われている治療ではあるが、3年で20%以上から23年で3%までさまざまな不成功率が報告されています。

その第一の原因は歯内療法に続く、う蝕になります。ブリッジの支台歯が抜歯になる割合の高いこと、単冠よりもブリッジの支台歯の方が5倍ほど虫歯になりやすいこと、インプラント治療との比較も論文や科学的根拠を示した患者さんに説明することが重要と考えます。

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入れ歯に関しては、ブリッジのように隣在歯の不可逆的な侵襲を加えることにはならないものの、鈎歯の生存率が低下することは患者さんに伝える必要はある。私はブリッジはよほどのことがないとしないが費用的にインプラント治療が難しい場合には残寒的な意味合いで義歯を選択するようにしている。

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歯を補綴するということは、失われた歯を取り戻すという意味のみならず残存歯を守るという意味合いもある。その観点でどのような治療がよりよいものであるのかを医療従事者は考えないといけない。その意味で、下の各補綴方法による残存は、隣在歯の生存率は興味深いとともに患者さんに伝えなければならない情報でもある。

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インプラント治療に関する長所は歯の欠損を隣在歯に依存することなく補綴できること、短所は手術を必要とすることと治療費用の問題であるが、私自身が歯を失った時にはインプラント治療を選択しまた多くの歯科医が自分の歯を失ったときに、ブリッジでも義歯でもなくインプラント治療を選択するであることが容易に予想できる通り、現時点ではもっともすぐれた治療法であると確信する。

成功率については20年間で90%以上の成功率が報告され、適切に治療されたインプラント治療の優位性は決定的でさえある。

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歯科口腔外科科学が大昔からどのような歴史をたどってきたかも歯科医療従事者は知る必要がある。歯が痛む患者さんが大昔の歯科医師のところに来た場合にその治療法は、抜歯であったと考えられる。そして第2の治療法はインプラントであった。抜けた部位に竹や鉄製のインプラントが埋入された顎骨が発掘され、歯科口腔外科学の歴史はインプラントの失敗と成功の歴史でもあったことがうかがえる。そして現在のインプラント治療の飛躍的進歩を遂げる最大の功績であるチタンにおけるオステオインテグレーションの概念の確立が歴史に刻まれたのである。

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オステオインテグレ-ションは1940年 Both によりチタンと骨の結合が報告され、1946年 Strockが 2回法のインプラント考案し、 1986年まで38年機能を示した。1952年 Branemarkが血液の微小循環を研究中 兎の骨にチタンが結合することを見出し1960年前半 歯科インプラントに応用したのが始まりとなる。

1950年代後半 Osseointegrationの偶然の発見から、1965年ヒトに対する Osseointegrated implant の適用し、その後、15年以上にわたりフィクスチャーの形状の決定、器具の開発、術式の確立が進められ、臨床成績の集約が行われたが、臨床応用は教室員を中心に実施された1977年 臨床応用10年経過報告の論文が発表され、1980年代初頭 他施設における臨床応用の許可を検討1982年 初めてのインターナショナル・コースを開催したという歴史がある。この時のコース受講者は口腔外科専門医および補綴専門医に限定されていた。このる-るがまもられていたら、昨今、本邦で報道されるインプラント治療の失敗はなかったかもしれない。

Osseointegrationとは光学顕微鏡レベルでインプラント表面と骨組織間の結合を示す。酸化チタンの表面にタンパク質がつき、そこにコラーゲンが結びつくことで結合している。

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治療選択において重要なことは、患者さんの価値観を重視し患者さんへの十分な説明と患者さんの治療への理解とともに患者さんを中心とした臨床研究・科学的根拠があり、それを行う医療従事者の臨床技術と過去の経験 が十分であることである。

その意味では私はインプラント治療が、歯を失った場合の最善の補綴治療であると考える。

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しかし、一方でインプラント治療が長期に渡り良好な成績が報告されていることからの新たな欠点が生じてくることも医療従事者は認識しておかないといけないと考える。

“インプラント療法というものは、患者が先に亡くなるか、君が先に仕事ができなくなるか、どちらかまで関係が続く仕事だから、そのつもりで臨床に接しなさい。” Per-Ingvar Brånemark1983の言葉がそれを言い表している。

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再認識してほしいキーワード

口(くち/mouth)口腔(こうくう/ Oral cavity) 口腔は、消化管の最前端である。

食物を取り入れる部分であり、食物を分断し、把持し、取り込むための構造が備わっている。同時に鼻腔と並んで呼吸器の最前端となっている。

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