口腔癌の診断・治療の流れ

専門医での治療の流れ

1) 問診,視診,触診など、口腔内外の診察

最初に行わねばならない検査は問診,視診,触診などの診査である。これら診査を通して腫瘍の進行状態をある程度把握し,次にどのような画像検査,組織検査を行うか検討すべきである。口の中や顔写真なども撮影する。腫瘍の進行状態を規定する重要な臨床的因子は,腫瘍の大きさ(T),頸部リンパ節転移(N),遠隔転移(M)である。これらは治療法の選択に際して重要な因子となり,また,患者の予後に多大な影響を及ぼす因子である。

 

2)細胞・組織学的検査

細胞の採取はメスで「がん」の一部を採る検査(組織生検)と「がん」の所を綿棒などでこすって検査(細胞診)する方法がある。

a.細胞診

口腔内では鋭匙,歯間ブラシを応用し,患部から直接擦過される擦過細胞診が主体である。細胞診は初診時の診断はもとより,治療効果判定,予後の予測判定や経過観察などに使用可能な簡便な診断法である。

  1. 生検

腫瘍と思われる組織の一部を採取し、病理医の診断を受ける。大きさは5mm程度で、通常外来通院で出来る検査である。口腔癌の90%以上が扁平上皮癌であり口腔粘膜の扁平上皮から発生している。

 

3)病理検査結果の説明

取った組織の一部を顕微鏡で調べて、診断を行う。通常5日から1週間程度、結果が出るまで要する。

 

4)CT,MRI,PET-CT,エコーなどの画像検査や血液検査

がんがどれだけ、周囲の組織に広がっているのかその範囲を知り、他の臓器への転移(遠隔転移)がないかどうかを確認するためにいくつかの画像診断を行う。また、手術や治療に耐えられるかどうかに関して、全身状態を知る目的と腫瘍マーカーなどで腫瘍の状態を知る目的で血液検査が行われる。

<CT>

X線を用いて、主に腫瘍の骨浸潤や頸部リンパ節・胸部転移の有無を精査する。ヨ-ド系の造影剤を用いることから、アレルギ-に注意する。

<MRI>

主に腫瘍の範囲や性状を精査する。造影剤を併用することによって腫瘍の種類が類推できることもある。磁力を利用するため被爆がないという利点がある一方で、磁力を利用して撮影するので、心臓ペースメーカーや脳動脈瘤クリップなど、体内に金属の埋め込まれた方は撮影が出来ない。

 

<PET-CT>

がん細胞は通常細胞に比べて、約3~8倍のブドウ糖を消費する性質があり、PET(ポジトロン放出型断層撮影)検査はこの性質を利用し、ブドウ糖に似た検査薬(FDG)に目印を付けて体内に注入し、その集まり具合を検出して診断する機器である。

癌の発生しやすい全身の画像をポジトロンカメラと呼ばれる装置で一気に撮るのがPET検査である。癌の再発や転移など、一度の検査で全身への広がりが観察できることもこの検査の特徴で、適正な診断・治療に結びつける役を果たす。これにより、従来検査では発見が難しかった初期癌を検出することが出来る。

<エコー>

主に頸部リンパ節の評価を行う。人体への影響がほとんどないため、術後の定期検査には欠かせない検査である。

<腫瘍マーカー>

腫瘍マーカーとは癌が体内に存在するときに、癌に特異的なタンパクや遺伝子が生体内に生産されて血液中などに存在し、これを測定することによって、癌細胞の存在を診断し、治療経過、再発(転移)の観察の判定に応用される。

口腔癌においては未だ優れた腫瘍マーカーはなく、腫瘍マーカーだけで確定診断には及ばず、経過観察際に画像診断などの検査と併用して診断している。

口腔癌で主に測定されるのは、

・SCC抗原……1.5ng/ml以下

・CA19-9……37U/ml以下

などである。

 

5)治療方針の説明

癌の進行度や、患者さんの年齢、全身状態、その他の要因を全て考慮してその患者さんに対する治療の説明が行われる。

 

6)入院、治療

ほとんどの口腔癌治療は入院下で行われる。癌の進行程度に応じて手術のみの場合もあれば、放射線治療のみの場合や、放射線治療と手術、抗がん剤と手術、あるいは放射線と抗がん剤による治療、さらに放射線治療と抗がん剤による治療と手術の3つの治療を行う場合もある。それぞれによって入院期間も患者さんの負担も大きく変わる。

 

7)退院

 

8)外来での経過観察

1年間はほぼ毎月かそれより短い期間で、2年目以降も数カ月に1度は専門家による経過観察がおこなわれる。この経過観察は10年以上続く。この際、画像診断も定期的に追加しながら経過観察を行う。

 

 

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