口腔前がん病変のヨード染色による検出

口腔がんは直視が可能でかつ触診もできるがんであり、また、一方で癌病変の周りに癌になる一歩手前の病変ともいえる前癌病変が存在すると、そして、その前がん病変を目視できることも大きな特徴補一つである。この前がん病変の検出にはいくつかの意味がある。

 

口腔の前がん病変検出の意味

  1. 口腔がんになる前の病変で検出し、厳重な経過観察を行い、早期がんの疑いが出れば切除する
  2. 口腔癌病変周囲の前がん病変の範囲を検出し、それにより病変の切除範囲を決定する。
  3. 前がん病変、あるいは前がん病変の中に癌病変の存在が疑われ、病変自体が小さい場合に、その疑いのある病変をすべて切除して診断を行う(Excisional Biopsy)の範囲を設定する。

 

ヨード染色の原理

口腔粘膜には多量のグリコーゲンが含有されているため,通常のヨード・グリセリン呈色反応により,粘膜上皮は褐色を呈する。しかし、癌や上皮異型性では顆粒細胞層のグリコーゲンの含有量が少ないため不染部を形成する。

 

染色液について

一般には1.2~3.0 % のヨード液が使用される。ただし、粘膜への刺激がある(しみるような痛みを伴う)ことから、びらん,潰瘍を認める場合には1.2%ルゴール液を用いる。

 

ヨード染色の手順

(1)水でよく洗口させる

(2)エアーで粘膜全体を乾燥し,簡易防湿を行う

(3)ヨード染色液を綿球で広く塗布し,乾燥後さらにヨード染色液を重ねて塗布する(3%ヨード染色液の場合は1回のみ)

(4)観察( 3%ヨード染色液の場合は生理食塩水で洗浄後観察)

ヨード染色応用の有用性

・上皮異形成を描出するのに有効であり、ヨード不染部全域はすべて種々の程度の上皮異形成を示す。また,不染部には正常な上皮は存在しない。

・Excisional biopsyの対象となる表在性病変で,扁平上皮癌周囲にひろがる上皮異形成の出現率が高いため特に注意が必要であり,これを明確に描出するためには,ヨード生体染色が有用である.

参考文献

早期口腔癌発見のための生体染色法

東京都歯科医師会雑誌,第50巻11号773-778,2002.

 

矢島安朝ら:舌癌 excisional biopsy におけるヨード生体染色の有用性

口腔腫瘍,第13巻4号277-282,2001.

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