インプラントのオッセオインテグレーション獲得時期と確認方法はどのようにされていますか?

【Q】

インプラントのオッセオインテグレーション獲得時期と確認方法はどのようにされていますか?

まず、オステオインテグレーションの定義に戻ってみる。“インテグレーション,骨結合,骨性結合 はBrånemark による造語である.現在では,光学顕微鏡レベルで骨とインプラント体表面が軟組織を介在せずに接触維持する様相をさすことが多い。インプラント体を顎骨に植立後,インプラント体周囲 にオッセオインテグレーションにより治癒が進行して,インプラント体が安定性を獲得することが二次固定(安定)である。

オッセオインテグレーションの獲得は、骨のリモデリングを起こしていることから成立し、成熟した骨組織の骨折時の創傷治癒に準じている。

創傷治癒の機序は以下のとおりである。すなはち、

  • 骨に傷害が加わると、血管が損傷され、血腫ができ炎症反応を起こす
  • 血腫内に骨膜からの骨原性細胞が遊走し骨肉芽を作る
  • 骨肉芽内に新生血管が侵入し、2週間程度で線維性仮骨を形成
  • 次いで骨性仮骨の形成へ移行(この仮骨の形成は力学的因子に大きく左右される)
  • 形成された新生骨は機能的に軟弱であるが、機能的刺激により徐々に骨吸収・添加を繰り返し、骨様構造が作られる

インプラント埋入後の埋入窩ではこのように骨形成が起こり、オッセオインテグレーションを獲得する。

埋入されたインプラントが生着するために2〜3ヶ月の期間を要すると報告されているが、近年、直ちに暫間上部構造を装着して患者の審美的、機能的回復を早める早期加重に耐えられるようにインプラント体へ表面処理が施されている。

オッセオインテグレーションを左右する因子としては、外来因子として、薬剤、BMP、エムドゲイン、GTR、GBR、鎮痛薬など、また患者因子として喫煙をやめるなどの患者教育、全身因子として性・年齢、ホルモン、ビタミンC、ミネラル(Fe, Cu, Zn, Mg, Caなど)、体内水分、各種疾患(糖尿病、肝硬変、低タンパク血症、ステロイド薬投与患者、骨粗鬆症、貧血など)、喫煙がある。

さらに局所因子としては、創の状態(形、大きさ、深さ、血液量、酸素供給量、栄養など)

インプラント(材質、表面性状、デザインなど)、手術手技(固定、安静、術後処置、感染対策など)、埋入部位(上顎・下顎、前歯・臼歯部、骨質)、埋入窩の形成方法(骨の発熱等)、初期固定、骨治癒期間中(負荷の有無等)、パラファンクションの有無などがあげられる。

荷重時期に対する見解に関しては、下図のごとく年代を重ねるに伴って短くなってきていることがわかる。

では、上顎と下顎におけるオッセオインテグレーション獲得時期に差はあるか?

わたくし自身は、上顎で骨造成を伴わない場合には3か月、下顎の場合には2か月を基本としているが、レビューによれば、上顎と下顎におけるオッセオインテグレーション獲得時期において、互いに統計的有意差はなかった。しかし、下顎が上顎より若干高いISQ値を示した。これは、上顎と下顎の骨塩密度の差が影響しているだろう。と報告されている。

上顎洞底挙上術(サイナスリフト、オステオトーム)におけるインプラント安定指数による解析では、グループ分け and 既存骨高径で、ソケットリフト群(osteotome).  >8.0mm、1回法サイナスリフト群.  3.0〜7.9mm、2回法サイナスリフト群.  <3.0mmの上顎洞底挙上術の三つのテクニックでは互いに有意差はなく、予測可能なオッセオインテグレーションを示し、時間の経過とともにインプラント安定性が増加した。と結論付けている。このような報告を見ると私が以前、基本としていた上顎の骨造成なしで3ケ月、ソケットリフト4ケ月、サイナスリフト6ケ月まで待たなくても有意差はないとなるが、臨床の現場で個人差があることは自明である。そこで重要になるのはオステオインテグレーションを見極める方法にある。

【オッセオインテグレーションの確認方法】

オッセオインテグレーションは一定期間で獲得しますが、実際にそれを的確に判断することは難しい。オッセオインテグレーションの獲得や治癒期間の評価には、患者の年齢、骨質、全身状態などの宿主側の要素、術中のドリリングの切削抵抗やインプラント初期固定、打診音など術者の経験的要素がありますが、これでオステオインテグレーションの獲得時期を正確に予想することは困難です。

【オッセオインテグレーションの客観的な確認方法】

オステオインテグレーションの獲得時期を正確に評価する方法としてオステルやペリオテストを用いる方法もあるが、いずれも、ヒーリングアバットメントを歯肉よりかなり上に出して打診、共鳴させる必要がある。そこで、わたくし自身は、トルクチェックと称して、インプラントのヒーリングアバットメントを正回転方向に20N/cm ならびに30N/cmのトルクをかけ患者さんが痛みや圧迫感を感じるかどうかでオステオインテグレーションが得られているか否かの評価を行っていることを最後に記す。

 

 

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