エキスパンジョンを伴うインプラント埋入シミュレーション症例解説(2020.5)

【Case 10】

両側上顎犬歯(#13,23)における抜歯即時・頬側皮質骨の骨切りを伴うエキスパンジョン埋入症例

両側上顎犬歯のシミュレーション症例である。右側犬歯部は乳犬歯が、残存しており、抜歯側埋入になる。いずれの歯槽骨でも、既存骨を中心にシミュレーションしたいために、理想的なアクセスホールよりも頬側に傾斜してのインプラント埋入を行う。両側にわたる場合には、できるだけ左右対称に埋入できるようにすることなど相互の位置関係も考慮する。

骨の状態から、エキスパンジョンならびに骨造成、GBRを行うとしてもアクセスホールは、切端に位置する。セメントリテインを選択するため、大きな問題はないと考える。骨透過像での3D画像では、インプラントの位置関係を3次元的に確認する。

本症例では上顎洞の前縁に沿うような形でかつ、上顎洞の下縁のやや骨の固くなった部分にインプラント体の先端を当てる形でインプラントの埋入を考えた。インプラント断面図の頬側ならびに口蓋側の歯槽骨がエキスパンジョンを行った場合に、どのくらい広がるのかは非常に難しい予測であるが、既存骨にシミュレーションで埋入される位置に設計し、実際にはFlapを開けて、頬側の皮質骨に骨切開を入れるなどして広がりや角度を確認する。その場合にでもインプラント埋入はサージカルガイド下に行われるので、インプラントの位置に関してはシミュレーションのごとくになる。頬側の皮質骨の状態やインプラントと歯槽骨の厚みによって、特に頬側に人工骨やGBRを用いて十分な骨量を維持するようにすることが長期予後に重要と考える。頬側方向からの断面では臨在歯の歯根との位置関係や深度の確認を行う。

 


 

【Case 9】

左側上顎中切歯(#21)における抜歯即時・エキスパンジョン埋入症例

左側上顎中切歯の抜歯即時・エキスパンジョンのシミュレーション症例である。抜歯即時埋入の症例ではあるが、歯槽骨の形態から唇側にやや傾斜し、アクセスホールの位置としては唇側の切端1/3付近になり、セメントリテインが選択される。

アクセスホールの位置はセメントリテインを選択せざるを得ない位置に設定される。抜歯即時埋入であり、抜歯後の唇側骨の吸収が生じてはいないが、歯根側の歯槽骨の陥凹状態から、埋入位置が規制される。あくまで既存骨に埋入して唇側のインプラント周囲が薄くなった部分などに骨補填を行う形が良いと私は考える。骨レベルでの3D画像では、インプラント体の露出はないが、後述するインプラント断面では、唇側に骨を補填、場合にはGBRを行ったほうが良いことがわかる。

梨状孔の下縁、切歯管、唇側の歯根付近での陥凹、など周囲の既存骨に、位置、方向、深さ度が規定されるのがわかる。この状態で埋入を行うなると、本症例ではこの位置しかないと考えられる。抜歯即時埋入であり、その意味では歯冠側の唇側歯槽骨はある程度のボリュームが維持されるであろうことがわかる。

インプラント断面図からわかるように、この場合のエキスパンジョンは、切歯管との間に圧迫した骨でもよいからしっかりした骨を維持しようと考えたことにある。歯槽骨がどのくらい広がるのかは難しい予測であるが、既存骨の中にしっかりと埋入する設計とし、実際にはFlapを開けて、唇側の皮質骨でインプラント周囲の骨が薄くなっている陥凹部に人工骨などを添加して対応する。

インプラント埋入はサージカルガイド下に行われるので、インプラントの位置に関してはシミュレーションのごとくになる。

 


 

【Case 8】

右側上顎中切歯(#11)ならびに左側上顎側切歯(#22)におけるエキスパンジョン埋入症例

右側上顎中切歯と左側上顎側切歯部のエキスパンジョンのシミュレーション症例である。アクセスホールの位置としてはどうにか口蓋側の切歯付近になり、セメントリテインが選択されるものの、ある程度、理想的な角度に埋入できると考える。

アクセスホールの位置は口蓋側で、切端付近に設定されるがセメントリテインを選択せざるを得ない。3D骨レベルでの画像では、インプラント体が歯槽頂から約2㎜の深さに設計されているもののインプラント体の周囲の一部では非常に薄くなっているのが観察される。

あくまで既存骨に埋入して唇側のインプラント周囲が薄くなった部分などに骨補填ならびにGBRを行う形が良いと考える。また、インプラントを複数埋入するときには相互の埋入位置、角度、深さの関係を確認することも重要である。

梨状孔の下縁までは十分距離があり、深く埋入できればそれだけインプラント周囲の骨量も増えることから、さらに2㎜ほど深く埋入する、あるいは14㎜ではなく16㎜のインプラントを選択することなどが考えられる。この場合に考えることの一つとしては歯肉よりの距離で、ヒーリングアバットメントがこの時点(2020.5)では6㎜が最長であり、その制限もあるが、今後、7,8,9mmのヒーリングアバットメントが準備されることを考えると2㎜ほど深く埋入したほうがより長期の予後がより期待できると考える。

歯槽骨がどのくらい広がるのかは難しい予測であるが、既存骨の中にしっかりと埋入する設計にとし、最悪、少し疎と考えられる骨を若干圧迫し密な骨にし、しっかりした骨の中でインプラント体を維持しようと考える。実際にはFlapを開けて、唇側の皮質骨でインプラント周囲の骨が薄くなっている陥凹部には人工骨などを添加して骨補填し、GBRなども含めて対応する。

インプラント埋入はサージカルガイド下に行われるので、インプラントの位置に関してはシミュレーションのごとくになる。

 


 

【Case 7】

右側上顎中切歯(#11)におけるエキスパンジョン埋入症例: 右側側切歯のカンチレバー症例

右側上顎中切歯と右側上顎側切歯の欠損を認める症例である。側切歯に関しては、骨が非常に薄く、ここに埋入しようとするとべニアも含めた大掛かりな骨造成が必要で、患者さん自身もそこまでは望んでいない。中切歯のエキスパンジョン後も唇側に骨の補填は必要であり、その時には、側切歯部にも骨補填を行う。その理由としては、将来的なインプラント治療も含めての骨造成はリスクと侵襲を考慮して積極的に行うことも重要と考えるからである。

アクセスホールの位置としてはどうにか口蓋側の切歯付近になり、セメントリテインが選択されるものの、ある程度、理想的な角度で埋入できると考える。

アクセスホールの位置は口蓋側で、切端付近に設定されるがセメントリテインを選択せざるを得ない。3D骨レベルでの画像では、インプラント体が歯槽頂から約2㎜の深さに設計されており、インプラント体の露出などはない。一方で、側切歯部分の歯槽骨が非常に薄くなっており、この部分にインプラント埋入を行う場合にはべニアなど大掛かりな骨造成が必要なことがわかる。

梨状孔の下縁付近まで達する位置でのインプラント体の埋入を設計する。直径3.4㎜、長さ14㎜のインプラントを選択した。この場合に、考慮すべき一つの因子としては歯肉よりの距離で、ヒーリングアバットメントがこの時点(2020.5)では6㎜が最長であり、その制限もある。今後、7,8,9mmのヒーリングアバットメントが準備されることを考えると1~2㎜ほど深く埋入したほうがより長期の予後がより期待できる。

インプラント断面図から、歯冠側の唇側の骨が薄くなっているのが、観察される。歯槽骨がどのくらい広がるのかは難しい予測であるが、既存骨の中にしっかりと埋入する設計し、実際には最低でも袋状にFlapを開けて、唇側の皮質骨とインプラント周囲の骨の厚みを確認し、インプラント周囲の骨が薄くなっている歯冠側付近に人工骨などを添加して対応し、場合によりメンブレンによるGBRを行う。

インプラント埋入はサージカルガイド下に行われるので、インプラントの位置に関してはシミュレーションのごとくになる。

 


 

【Case 6】

左側上顎第1小臼歯(#24)におけるエキスパンジョン埋入症例

左側第一小臼歯の症例である。直径3.4㎜を選択すれば、エキスパンジョンを行わなくても対応できるかもしれないが、小臼歯で側方力がかなり加わることなどを考慮して直径3.7㎜のインプラント体を選択し、エキスパンジョンを併用することを選択した。

咬合面からの3D画像では、同部の頬側の骨と粘膜がかなり陥凹しているのが観察できる。骨レベルでも抜歯後の頬側の陥凹が確認できる、アクセスホールの位置は既存骨の状態により、口頬側咬頭部分にアクセスホールが設定され、理想的な部位ではないが、どうにかスクリューリテインで対応できると考える。3D骨レベルでの画像では、インプラント体が歯槽頂から約2㎜の深さに設計されており、インプラント体の露出などはない。しかし、頬側のインプラントを被覆する骨はかなり薄くなっており、必要と判断すれば骨補填を行う準備も考える。

上顎洞下縁と梨状孔との距離などを考慮してインプラント埋入の位置を決定した。直径3.7㎜、長さ14㎜のインプラントを選択した。歯肉よりの距離は約6㎜である。

インプラント断面図からわかるように、インプラントの歯冠側半分ほどにおいて骨の幅が薄くなっているが、既存骨の中に埋入することは可能である。唇側の骨が薄くなっていることから、歯槽骨がどのくらい広がるのかは難しい予測であるが、最低で袋状にFlapを開けて、唇側の皮質骨とインプラント周囲の骨の厚みを確認し、インプラント周囲の骨が薄くなっている歯冠側付近に人工骨などを添加して対応し、場合によりメンブレンによるGBRを行う。

インプラント埋入はサージカルガイド下に行われるので、インプラントの位置に関してはシミュレーションのごとくになる。

 


 

Case 5

右側上顎中切歯、左側上顎中切歯、側切歯(#11,21,22)におけるエキスパンジョン埋入症例

上顎前歯部のエキスパンジョン症例で複数本のエキスパンジョンである。直径3.4㎜を選択しており、本来であればべニアなどの骨造成を必要とする。上部構造を連結とはしない方向で、直径3.4㎜長さ10㎜のインプラント体を選択した。

咬合面からの3D画像では、アクセスホールがほぼ切端に設定されており、セメントリテインで対応できると考える。骨レベルの3D画面では、インプラント体の露出はないものの、頬側のプラントを被覆する骨はかなり薄くなっており、インプラント体は既存骨内に埋入して、唇側に骨補填ならびにGBRを行う方向で準備する。

梨状孔の下縁に接するようにインプラント体の埋入部位を設計する。唇側の骨頂からは、最低1~2㎜ほど深く埋入するように設定すべきで、上顎の理想的な長さである12㎜をあえて10㎜にしてもそのほうが予後的が期待できると考える。歯肉からの距離は概ね6㎜になる。

インプラント断面図からわかるように、インプラント体はかろうじて上顎骨の皮質骨内に設定されるがエキスパンジョンでどれだけ骨が広がるかに関しては十分、予測できないこともあり、Flapを開けて、唇側の皮質骨とインプラント周囲の骨の厚みを確認し、インプラント周囲の唇側には最低2㎜ほどの厚みの人工骨による骨造成を行い、GBRを行う。

インプラント埋入はサージカルガイド下に行われるので、インプラントの位置に関してはシミュレーションのごとくになる。

 


 

【Case 4】

左側上顎中切歯(#21)における抜歯即時・エキスパンジョン埋入症例

上顎前歯部・中切歯のエキスパンジョン症例で、直径3.4㎜、長さ14㎜を選択している。抜歯即時埋入例であり、気をつけて抜歯すれば唇側の歯冠側の骨は吸収をしていないことから、唇側の歯冠側の歯槽骨ならびに歯肉に関してはある程度、審美的な要求にも耐えれる予知性が見込まれる。しかし、一方で、エキスパンジョンを行わなければ皮質骨のみでインプラント体を被覆することになり、また、切歯管との間に厚みもほとんどないことから積極的にエキスパンジョンを行う。

咬合面からの3D画像では、アクセスホールがほぼ切端に設定されているが、セメントリテインで対応できると考える。骨レベルの3D画面では、インプラント体の露出はないものの、頬側のプラントを被覆する骨はかなり薄くなっており、インプラント体は既存骨内に埋入して、唇側に骨補填ならびにGBRを行う方向で準備する。

梨状孔の下縁までは、かなり距離があり、上顎の標準の長さである12mmより少し長い14㎜を選択した。エキスパンジョンを行わなければ、インプラント体で広がることも期待できるが、やはりかなり厳しい症例である。エキスパンジョンで実際に骨が広がっているのか、圧迫されて密度は増してもほとんど広がっていないのかについては不明であるが、既存骨に入りきらないような場合には、インプラント埋入手術に先んじて、べニアなどのきっちりとした骨造成が行われる場期と考える。抜歯即時である唇側には骨が存在するためにやや深く埋入して唇側骨との間に人工骨を入れることで歯冠側の骨吸収は防ぐことができるのではないかと考える。しかしながら、歯根側のインプラント唇側の骨も非常に薄いため、同部も、Flapを開けて、唇側の皮質骨とインプラント周囲の骨の厚みを確認し、インプラント周囲の唇側には最低2㎜ほどの厚みの人工骨による骨造成を行い、GBRを行う。

インプラント埋入はサージカルガイド下に行われるので、インプラントの位置に関してはシミュレーションのごとくになる。

 


 

【Case 3】

右側上顎中切歯、左側中切歯、側切歯(#11,21,22)におけるエキスパンジョン埋入症例

上顎前歯部・中切歯ならびに側切歯のエキスパンジョン症例で、直径3.4㎜、長さ14㎜を選択している。後述する症例に比較すると比較的骨幅があるようには見えるが、前歯部においてはエキスパンジョンを行い、確実に既存骨内に埋入して、骨の薄いと考えられる部位に骨造成ならびにGBRを考える方がより低侵襲と考える。複数本を埋入する症例であり、相互の位置関係、間隔、傾斜ならびに深さなどにも留意する。

咬合面からの3D画像では、アクセスホールがほぼ切端に設定されており、セメントリテインで対応できると考える。骨レベルの3D画面では、インプラント体の露出はないものの、頬側のプラントを被覆する骨はかなり薄くなっており、インプラント体は既存骨内に埋入して、唇側に骨補填ならびにGBRを行う方向で準備する。3本のインプラントの間隔、位置関係も良好で深さも近似しており問題ないと考える。

梨状孔の下縁までは、若干の距離があり、上顎の標準の長さである12mmより少し長い14㎜を選択した。下縁に接するように16㎜を選択することも考慮する。エキスパンジョンを行わないという選択もあるが、骨密度を上げる意味も含めて、エキスパンジョンを選択した。

エキスパンジョンで実際に骨が広がっているのか、圧迫されて密度は増してもほとんど広がっていないのかについては不明であるが、既存骨に入りきらないような場合には、インプラント埋入手術に先んじての骨造成は必要ないと考える。ンプラント唇側の骨が非常に薄い部分も存在するため、な愛によりFlapを開けて、唇側の皮質骨とインプラント周囲の骨の厚みを確認し、インプラント周囲の唇側に人工骨による骨造成を行うことも考慮する。

インプラント埋入はサージカルガイド下に行われるので、インプラントの位置に関してはシミュレーションのごとくになる。

 


 

【Case 2】

左側上顎中切歯(#21)におけるエキスパンジョン埋入症例: 切歯管との関係からの抜歯即時・エキスパンジョン

左側上顎中切歯のエキスパンジョン症例で、直径3.4㎜、長さ14㎜を選択している。後述する症例に比較すると比較的骨幅があり、唇側の骨もエキスパンジョンを行わなくてもと考えるが、切歯管との関係では、骨をやや圧迫する形ででも(広がらなくてもという意味)エキスパンジョンにより切歯管への直接の侵襲を避けるためにエキスパンジョンをしたほうが良いのではないかと考える症例である。

咬合面からの3D画像では、アクセスホールがほぼ切端に設定されており、セメントリテインで対応できると考える。骨レベルの3D画面では、インプラント体の露出はなく、唇側のプラントを被覆する骨もある程度確保できていると思われる。インプラント体は既存骨内に埋入し、袋状に切開、剥離して、インプラント体の唇側の骨が薄ければ、骨補填などで対応する。

梨状孔の下縁に達するように、上顎の標準の長さである12mmより少し長い14㎜を選択した。エキスパンジョンを行わないという選択もあるが、切歯管とインプラントの位置関係から、骨密度を上げる意味も含めて、エキスパンジョンを選択した。抜歯即時埋入であり、唇側の歯間部付近の骨形態は維持されているので、ギャップに、人工骨などを補填する形で十分に対応できると考える。

インプラント埋入はサージカルガイド下に行われるので、インプラントの位置に関してはシミュレーションのごとくになる。

 


 

【Case 1】

左側上顎側切歯(#22)におけるエキスパンジョン埋入症例

口蓋側の周囲骨との関係からエキスパンジョンを行った症例

左側上顎側切歯のエキスパンジョン症例で、直径3.4㎜、長さ14㎜を選択している。後述する症例に比較すると比較的骨幅があり、唇側の骨もエキスパンジョンを行わなくてもぎりぎりの許容範囲かとも考えるが、唇側に骨をある程度確保したいことから、より口蓋側に埋入した。インプラント周囲の口蓋側の骨のレベルや厚みなどを考慮するとエキスパンジョンを選択するほうが良いと考える症例である。

咬合面からの3D画像では、アクセスホールがほぼ唇側の約1/3切端側に設定されており、セメントリテインで対応する。骨レベルの3D画面では、インプラント体の露出はなく、唇側のプラントを被覆する骨もある程度確保できていると思われる。インプラント体は既存骨内に埋入し、袋状に切開、剥離して、インプラント体の唇側の骨が薄ければ、骨補填などで対応する。

梨状孔の下縁には達しないが、より安定するように上顎の標準の長さである12mmより少し長い14㎜を選択した。エキスパンジョンを行わないという選択もあるが、口蓋側の歯冠側の骨頂とインプラントの位置関係から、骨密度を上げる意味も含めて、エキスパンジョンを選択した。

インプラント埋入はサージカルガイド下に行われるので、インプラントの位置に関してはシミュレーションのごとくになる。

 

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