サイナスリフトを伴うインプラント埋入シミュレーション症例解説(2020.5)

基本的に、私はサイナスリフトにおける骨造成とインプラント埋入は同時に行う。これまでに数十例以上サイナスリフトとインプラント埋入を同時に行ってきたが、全例で問題なかったし、確実なサイナスリフトができれば問題ないと思われる。骨の厚みが非常に薄い症例でもワイドのヒーリングアバットメントを使うことでステージドサイナスリフトを行わなくても全例で問題なくインプラント埋入が行えている。

ただ、1回法か2回法を選択するかについては、サイナスリフト後の待機期間中に義歯を使わなくてはいけない症例ではヒーリングアバットメントに過度の義歯による側方力が加わるために積極的に2回法を選択するようにしている。

 

【Case 10】

右側上顎第1,2小臼歯歯ならびに第1大臼歯(#14,15,16)におけるサイナスリフトを伴うインプラント埋入症例

右側上顎臼歯部3本の埋入シミュレーション症例である。第1小臼歯では、インプラント体の尖端が上顎洞には及ばないが、第2小臼歯で上顎洞までの骨幅は約4㎜、第1大臼歯部では1~2㎜である。ラテラルウインドウからシミュレーションされた量の人工骨を洞内に填入してサイナスリフトとし、同時にインプラント埋入を行う設定とした。トルクが15N/cm以上であれば、義歯を入れない前提で、1回法を選択することもある。複数本にわたる場合であり、相互のインプラント間隔、傾斜角度ならびに深さをできるだけ近似させることも重要になる。

アクセスホールは、ほぼ理想的な部位に設定できるが、逆にサイナスリフトを行わない第1小臼歯で頬側咬頭にアクセスホールが設置されてしまうことに注目していただきたい。骨透過像での3D画像では、インプラントの相互の位置関係を3次元的に確認する。また上顎洞全体の3次元的な構造とどれくらいのインプラントが洞内に突出するかに関してもイメージをつかむ必要がある。サイナスの形からラテラルウインドウを開ける部位とインプラント体との距離感もここでイメージする。

本症例では上顎洞の下縁付近にインプラント体の上縁マージンが来るように設定している。サイナスリフト症例での深度に関しては、肉眼で骨レベルとインプラント体の上縁との関係を見ながら埋入することになる。

場合によっては2㎜のヒーリングアバットメント(ワイド)やワイドスクリューカバーを装着して骨内に埋入し、歯槽骨頂の陥凹ギャップに骨造成を行うこともあるため、シミュレーションでの深さは、厳密でなくてもよい点が一般のガイドサージェリーと異なる。

洞底から、歯槽頂までの距離と骨質によって初期固定がほぼ決定されるが、洞内に入れた人工骨の密度によっても若干、埋入トルクは影響を受けると考える。

第1小臼歯の深さがもう少し欲しいところであるが、基準の12㎜で埋入し、場合によって歯槽頂側に骨造成を行う準備をする。

頬側方向からの断面では臨在歯の歯根との位置関係や上顎洞底の形態にも注意して観察する。

 


 

【Case 9】

左側上顎第1,2小臼歯歯ならびに第1大臼歯(#24,25,26):若干の粘膜肥厚を伴う上顎洞におけるサイナスリフト・インプラント埋入症例

左側上顎臼歯部3本の埋入シミュレーション症例である。いずれの部位においても、歯槽頂から上顎洞底までの骨の厚みは1㎜程度である。また、上顎洞の粘膜が若干肥厚していることが観察される。ラテラルウインドウからシミュレーションされた量の人工骨を洞内に填入してサイナスリフトとし、同時にインプラント埋入を行う。1回法を選択することも考えるが、安全のためには2回法の選択が勧められる。複数本にわたる症例であり、相互のインプラント間隔、傾斜角度ならびに深さをできるだけ近似させることも重要になる。

アクセスホールは、ほぼ理想的な部位に設定できるが、第1小臼歯ではややインプラント体が深く埋入されていることに注目していただきたい。

透過像での3D画像では、インプラントの相互の位置関係を3次元的に確認する。また上顎洞全体の3次元的な構造とどれくらいのインプラントが洞内に突出するかに関してもイメージをつかむ必要がある。ラテラルウインドウを開ける部位とインプラント体との距離感もここでイメージする。この時、正中側までの広がりも確認しておくと上顎洞の内側壁を剥離するときの目安にもなる。

本症例では歯槽頂と上顎洞底までの距離がほとんどなく歯槽頂にインプラント体の上縁マージンが来るように設定している。サイナスリフトでは、深度に関しては、肉眼で骨レベルとインプラント体の上縁との関係を見ながら埋入することになるが。このような症例でインプラントを骨内に埋入することは難しいため、2㎜のヒーリングアバットメント(ワイド)をインプラント体につけ、それを手指で適切な位置まで埋入する方法をとるとよい。

#24,#25では、歯槽頂がほぼ平坦であるが、#26では口蓋側と頬側の骨のレベルが異なり、インプラント体の上部表層平面とギャップが生じていることがわかる。そこで、ヒーリングアバットメントと歯槽骨頂の陥凹ギャップに骨造成を行うように準備する。シミュレーションでの深さは、厳密ではないが、このような場合にはヒーリングアバットメントないしカバースクリューをつけた後に、骨造成などを補助的に行うと有効である。

 


 

【Case 8】

右側上顎第1小臼歯歯ならびに第1大臼歯(#14,16):サイナスリフト・インプラント埋入症例

右側上顎臼歯部2本の埋入シミュレーション症例である。第1大臼歯部では、歯槽頂から上顎洞底までの骨の厚みは1㎜程度である。第1小臼歯部では、抜歯後の頬側の骨欠損の状態が安定していない。上顎洞の粘膜の肥厚はない。ラテラルウインドウからシミュレーションされた量の人工骨を洞内に填入してサイナスリフトとし、同時にインプラント埋入を行う。待機中は、ブリッジ形状のTEKが入るため、アバットメントならびにインプラント体への側方力はかからない。複数本の症例であるが、前後ならびに中間に残存歯牙があるため、これらとの相互関係に注意する。

アクセスホールは、ほぼ理想的な部位に設定し、2本のインプラントがほぼ同じ深さに埋入されていることが、わかる。

透過像での3D画像では、インプラントの相互の位置関係を3次元的に確認する。また上顎洞全体の3次元的な構造とどれくらいのインプラントが洞内に突出するかに関してもイメージをつかむ必要がある。ラテラルウインドウを開ける部位とインプラント体との距離感、特にこの症例では第1大臼歯部のインプラントまでの距離の把握も重要になる。

本症例では歯槽頂付近にインプラント体の上部のマージンが来るように設定している。サイナスリフトでは、深度に関しては、肉眼で骨レベルとインプラント体の上縁との関係を見ながら埋入することになる。特に第1大臼歯部では骨の厚みが1㎜程度であるため、骨内にインプラント体をしっかりと入れるために、2㎜のヒーリングアバットメント(ワイド)やワイドスクリューカバーを装着して骨内に埋入し、歯槽頂付近のインプラントヒーリングキャップならびにアバットメント周囲に骨造成を行う。

#14では、抜歯窩が存在することと、上顎洞までの距離は比較的あるために近遠心的な画像では、歯槽頂よりやや深く埋入する形になる。#16では、歯槽頂から上顎洞底までの厚みが1mm程度であり、深度の調整は実際の肉眼でトルクも鑑みながら行うことになる。

 


 

【Case 7】

左側上顎第2小臼歯歯ならびに第1大臼歯(#25,26):頬側に骨造成、GBRを考慮するサイナスリフト・インプラント埋入症例

右側上顎臼歯部2本の埋入シミュレーション症例である。第1大臼歯部では、歯槽頂から上顎洞底までの骨の厚みは1㎜程度である。第1小臼歯部では、抜歯後の頬側の骨欠損の状態が安定しておらず、かなり幼弱な骨のようにも観察される。このような場合には、既存骨がある口蓋側に寄せて初期固定を得るようにしたほうが、安全と考える。上顎洞の粘膜には若干の肥厚がある。ラテラルウインドウからシミュレーションされた量の人工骨を洞内に填入してサイナスリフトとし、同時にインプラント埋入を行う。待機中は、義歯になるため特に第1大臼歯では、側方からの荷重に十分に注意して、場合によっては2回法を選択する。複数本の症例であり、相互の間隔や傾き、深さなどに留意して埋入位置を選択する。

第1大臼歯部のアクセスホールは、ほぼ理想的な部位に設定できるが、第2小臼歯のインプラントは、前述したように口蓋の既存骨により多く維持を求めるようにすることで初期固定を得ようとするために、やや口蓋側に設定される。

3D透過像の画像では、インプラントの相互の位置関係を3次元的に確認する。また上顎洞全体の3次元的な構造とどれくらいのインプラントが洞内に突出するかに関してもイメージをつかむ必要がある。骨レベルの3D画像で、第2小臼歯部の頬側で、インプラント体が露出している可能性が観察される。そのために、骨造成と場合によってはGBRも併用する準備を行う。ラテラルウインドウを開ける部位とインプラント体との距離感、特にこの症例では第1大臼歯部のインプラントまでの距離の把握も重要になる。

本症例では左側第2小臼歯ならびに第1大臼歯部の頬側に、骨がない(インプラント体が一部露出する可能性がある)範囲が存在する。いずれも、口蓋側のCT上での明らかな既存骨レベルに設定するようにシミュレーションを行ったが、実際の深度に関しては、肉眼で骨レベルとインプラント体の上縁との関係を見ながら埋入することになる。

場合によっては2㎜のヒーリングアバットメント(ワイド)やワイドスクリューカバーを装着して骨内に埋入し、歯槽頂付近のインプラントヒーリングキャップならびにアバットメント周囲に骨造成を行うことも想定して準備を行う。

 


 

【Case 6】

右側上顎第1・2小臼歯歯ならびに第1大臼歯(#14,15,16):第2小臼歯の抜歯即時を含むサイナスリフト・インプラント埋入症例

右側上顎臼歯部3本の埋入シミュレーション症例である。第1大臼歯部、第2小臼歯部では、歯槽頂から上顎洞底までの骨の厚みは3-4㎜程度である。第2小臼歯部では、抜歯即時埋入であるが、残根状態で気にするほどの骨欠損はないと考える。

既存骨がある程度は存在しており、できれば初期固定を得て、1回法で行いたい。このような場合に、1回法か2回法を選択するかは、待機期間中に、義歯を入れるか否かなどが関係する因子になると思われる。初期固定が十分に得られていない状態での側方力はオステオインテグレーションに影響を与えることになる。2回法を選択する場合にも、ヒーリングキャップで明らかに骨内に入れてしまったほうが、側方力はかかりにくいことは自明である。複数本の症例であり、相互の間隔や傾き、深さなどに留意して埋入位置を選択する。

アクセスホールは、ほぼ理想的な部位に設定できる。

透過像での3D画像では、インプラントの相互の位置関係を3次元的に確認する。間隔、深さ、角度なども問題ないと考える。また上顎洞全体の3次元的な構造とどれくらいのインプラントが洞内に突出するか、ラテラルウインドウの開設場所、骨造成を行う場合の深さ、インプラントの位置関係に関しても十分に観察する。

本症例では左側第2小臼歯の抜歯即時埋入になるが、インプラント体の深さの設定を考えると大きな問題にはならないと思われる。最も骨が薄い、第1大臼歯部でも2-3㎜は骨が存在すると思われるために、初期固定はある程度得られると思われる。

この状況で、1回法にするか2回法で行うかについては、埋入後の待機期間中の補綴によって影響を受ける。部分床義歯であっても左右に側方力はかなりかかることになるため、そのような場合には2回法を選択するほうが安全と考える。

一方で、このような症例でも思いの他、ある程度、十分な20N/cm以上の初期固定が得られることもあるため、そのような場合には、1回法を選択することも十分に考えられる。

実際の深度に関しては、肉眼で骨レベルとインプラント体の上縁との関係を見ながら埋入することになるし、1回法か2回法かの選択も初期固定のトルクによって決定することになる。

 


 

【Case 5】

右側上顎第1・2小臼歯歯ならびに第1大臼歯(#14,15,16):近遠心的な骨の厚みが異なるサイナスリフト・インプラント埋入症例

右側上顎臼歯部3本の埋入シミュレーション症例である。第1大臼歯部では、歯槽頂から上顎洞底までの骨の厚みは3㎜程度であり、サイナスリフトによる骨造成を必要とする。一方、第1・2小臼歯部では、骨の厚みはある程度あり、骨造成を必要としないか、あるいはソケットリフトで対応できると考える。

第1・2小臼歯ならびに第1大臼歯においても既存骨がある程度は存在しており、できれば初期固定を得て、1回法で行いたい。本症例では、待機期間中にブリッジタイプの仮歯を応用することができるのであれば、1回法で対応したい。第1.第2小臼歯部の骨造成は、あくまで第1大臼歯のサイナスリフトを行うことで同時に上顎の基準の長さである12mmを確保することができるために行う骨造成との理解でよいと考える。複数本の症例であり間隔や傾き、深さなどの相互関係に留意して埋入位置を選択する。

アクセスホールは、ほぼ理想的な部位に設定できる。

透過像での3D画像では、インプラントの相互の位置関係を3次元的に確認する。間隔、深さ、角度なども問題ないと考える。また上顎洞全体の3次元的な構造とどれくらいのインプラントが洞内に突出するか、ラテラルウインドウの開設場所、骨造成を行う場合の深さ、インプラントの位置関係に関しても十分に観察する。骨の幅が広いとは言えず、小臼歯部で直径3.7㎜、大臼歯部で直径4.2㎜のインプラントを選択した。

本症例では右側第1小臼歯の抜歯即時埋入になるが、インプラント体の深さなど設定位置を考えると大きな問題にはならないと思われる。最も骨が薄い、第1大臼歯部でも2-3㎜は骨が存在すると思われるために、初期固定はある程度得られると思われる。

本症例では、待機期間中ブリッジで対応するため、第1大臼歯の初期固定がどれくらいになるかによるが基本的には1回法を選択できると考える。

実際の深度に関しては、肉眼で骨レベルとインプラント体の上縁との関係を見ながら埋入することになるが、骨とインプラント体ならびにカバーやヒーリングアバットメントとのギャップに関しては、骨造成などで対応する。

 


 

【Case 4】

右側上顎第1・2小臼歯歯ならびに第1大臼歯(#14,15,16):近遠心的に骨の厚みが異なるサイナスリフト・インプラント埋入症例

右側上顎臼歯部3本の埋入シミュレーション症例である。第1大臼歯部では、頬側の骨が回復せず、場合によっては骨造成を頬側に行う可能性もある。第1大臼歯部での歯槽頂から上顎洞底までの骨の厚みは2㎜程度であり、第2小臼歯部でも3㎜程度であり、サイナスリフトによる骨造成を必要とする。第1・2小臼歯部では、頬側の骨吸収が大きくなければ、シミュレーションよりも浅く設定できるが、既存骨内に埋入するためには、現在のような設定になる。本症例では、待機期間中にブリッジタイプの仮歯を応用することができるため、1回法で対応したい。複数本の症例であり間隔や傾き、深さなどの相互関係に留意して埋入位置を選択する。

アクセスホールは、ほぼ理想的な部位に設定できる。

透過像での3D画像では、インプラントの相互の位置関係を3次元的に確認する。間隔、深さ、角度なども問題ないと考える。第1小臼歯部の頬側の骨吸収状態から、同部のインプラントが若干深い位置に設定されるが、既存骨を考えると仕方ない。また上顎洞全体の3次元的な構造とどれくらいのインプラントが洞内に突出するか、ラテラルウインドウの開設場所、骨造成を行う場合の深さ、インプラントの位置関係に関しても十分に観察する。

本症例では右側第1小臼歯の頬側骨の欠損と、12㎜のインプラントを選択した場合の上顎洞内壁とインプラントの尖端との位置関係に注目したい。第1大臼歯部では骨が2㎜程度と薄いが、口蓋側では3mm程度あり、初期固定はある程度得られると思われる。

待機期間中ブリッジで対応するため、1回法を選択できると考える。

実際の深度に関しては、肉眼で骨レベルとインプラント体の上縁との関係を見ながら埋入することになるが、骨とインプラント体ならびにカバーやヒーリングアバットメントとのギャップがあった場合には、骨造成などで対応する。

 


 

【Case 3】

右側上顎第1大臼歯(#16):サイナスリフト・インプラント埋入症例

右側上顎第1大臼歯部でのインプラントシミュレーション症例である。歯槽頂から上顎洞底までの骨の厚みは2㎜程度である。本症例では、待機期間中に、義歯などは予定していないために、1回法で行いたい。2回法のデメリットとしては2次手術を行うまで、十分なオステオインテグレーションが得られているのか否かが不明という点にある。第2大臼歯ならびに第2小臼歯との根との位置関係などについても注意して埋入位置、角度などを設定する。

アクセスホールは、ほぼ理想的な部位に設定できる。

上顎洞全体の3次元的な構造とどれくらいのインプラントが洞内に突出するか、ラテラルウインドウの開設場所、骨造成を行う場合の深さ、インプラントの位置関係に関しても十分に観察する。特に1歯の症例であるので、前方部、小臼歯部からラテラルウインドウを開けることになるためその位置の形状とインプラント体との位置関係などを十分に検討する。

本症例では歯槽頂の形態はほぼ平坦で、上顎洞までの距離は約2㎜ほど存在する。近遠心的な歯牙の根との感銘も直径5.2㎜を選択しても問題ないと考える。

待機期間中に義歯は稲ないことから、1回法を選択できると考える。

実際の深度に関しては、肉眼で骨レベルとインプラント体の上縁との関係を見ながら埋入することになるが、2㎜のヒーリングアバットメントを装着してから、より深く埋入する方法も適応ではないかと考える。

 


 

【Case 2】

右側上顎第1大臼歯(#16):上顎洞底の形態に注意が必要なサイナスリフト・インプラント埋入症例

右側上顎第1大臼歯部でのインプラントシミュレーション症例である。歯槽頂から上顎洞底までの骨の厚みは2㎜程度である。本症例では、待機期間中に、義歯などは予定していないために、1回法で行ないたい。近遠心的な歯の歯冠、歯根との位置関係に留意して、埋入を行う。

アクセスホールは、ほぼ理想的な部位に設定できる。

上顎洞全体の3次元的な構造とどれくらいのインプラントが洞内に突出するか、この症例では特に、埋入位置の若干、近心部分の洞底が少し高い位置にあり、剥離を行う場合にインプラント埋入位置付近で一気に深くなるため、洞粘膜の破損に留意するなどの情報をこの3次元画像から得る。

本症例では歯槽頂の形態はほぼ平坦で、上顎洞までの距離は約2㎜ほど存在する。近遠心的な歯牙の根との幅も問題なく直径5.2㎜を選択した。ある程度の初期固定を得ることができることが予想され、1回法を選択できると考える。

実際の深度に関しては、肉眼で骨レベルとインプラント体の上縁との関係を見ながら埋入することになるが、2㎜のヒーリングアバットメントを装着してから、より深く埋入する方法も適応ではないかと考える。

 


 

【Case 1】

右側上顎第1大臼歯(#16):抜歯後2ヶ月、頬側の骨造成とGBRを考慮するサイナスリフト・インプラント埋入症例

右側上顎第1大臼歯部でのインプラントシミュレーション症例である。抜歯2ヶ月とのことで頬側の骨が抜歯後の治癒過程であり、既存骨が明らかではない部分がある。歯槽頂から上顎洞底までの骨の厚みは2㎜程度、存在する。近遠心的な歯の歯冠、歯根との位置関係に留意して、埋入を行う。

アクセスホールは、ほぼ理想的な部位に設定できる。

上顎洞全体の3次元的な構造とどれくらいのインプラントが洞内に突出するか、ラレラルウインドウの位置をどこに設定するのかなどの情報をこの3次元画像から得る。また、頬側の骨欠損の状態と骨造成を行うと仮定して骨造成の範囲も把握しておく。

本症例では歯槽頂の形態が口蓋側では既存骨がある程度あるものの、頬側でかなり欠損していることが観察できる。エマージェンスプロファイルは問題ない。頬側の欠損は大きいところでは2㎜ほどにもなると考える。このため、同部に骨を造成して場合によってはGBRを行うことも想定してインプラントの埋入計画を立てることが重要である。

実際の深度に関しては、肉眼で骨レベルとインプラント体の上縁との関係を見ながら埋入することになるが、2㎜のヒーリングアバットメントを装着してから、骨とのギャップに骨を造成する方法も考えられる。

 

 

 

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