べニアグラフトにおける採骨部(口腔内)
口腔内からの最骨部位に関しては種々の部位があげられるが、ベニアグラフトとなると、下顎枝部もしくはオトガイ部はから、板状の骨を採取するということになる。オトガイ部からの採取では、筋鈎によるオトガイ孔付近の圧迫などにより、また下顎枝前縁においても誤った骨採取方法や骨ノミの使用方向の誤りによってオトガイ神経麻痺を生じるリスクを持っている。
べニアグラフト症例 ・前歯部(外傷後)①
べニアグラフト症例 ・前歯部(外傷後)②
べニアグラフト症例 ・前歯部
べニアグラフト症例 ・前歯部(腫瘍切除後)
症例は前歯部上顎骨部分切除後に唇側および口蓋側ベニアグラフトにて骨造成、インプラント治療を施行した例である。上顎前歯部の悪性腫瘍に対して上顎骨の辺縁切除を施行し、その後再発のないことを確認し、インプラント治療のための骨造成を計画した。
治療上の問題点としては、水平・垂直的な骨欠損と付着歯肉の喪失があった。腸骨移植も選択肢としてあるも、口腔内よりの採骨で低侵襲な治療とのことでべニアを唇側および口蓋側に2枚置き、造骨を図った。
コツは、口蓋側の骨の安定でこれにはシミュレーションを行い、口蓋側のべニアを固定するために適切な長さのスクリューの選択が重要となる。また、2枚のべニアの中には粉砕骨をサンドイッチ状に挟み込んだ。粘膜に関しては唇側の粘膜の翻展と確実な減張切開のテクニックを要する。最終的には固有歯肉確保のために粘膜移植を行うことになる。