インプラント周囲には固有歯肉(角化歯肉)が存在する方が望ましい
- プラークの除去が用意になる(ブラッシング時の痛み軽減
- 軟組織退縮の防止
- 辺縁骨吸収の防止
- 周囲組織の炎症症状の低下
・ Schrott AR et al. Five-year evaluation of the influence of keratinized mucosa on peri-implant soft-tissue health and stability around implant supporting full arch mandibular fixed prosthesis. Clin Oral Implants Res 2009
・ Perussolo J et al. Influence of the keratinized mucosa on the stability of peri-implant tissues and brushing discomfort: A 4-year follow-up study. Clin Oral Implants Res 2018
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- インプラント周囲に角化歯肉がある方が
- インプラント周囲炎になりにくく、
- インプラントの長期予後(長く使えるか否か)に良い影響を与える
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インプラント周囲で角化歯肉が減少する理由
- 天然歯の周りには角化歯肉(動かない歯茎)が存在(1)
- 歯を抜いた後の歯茎は角化歯肉の幅が減少して可動粘膜がインプラント埋入予定部まで入り込む(2)
- インプラント埋入時に切開しないといけない理由となる(3)
- サーキュレーションメスで切り取らずに切開して縫合することで角化歯肉の幅を保つ(4)
インプラント歯周炎を惹起させないために
インプラント周囲に2mm以上の角化歯肉が必要
角化組織の幅と術後の骨吸収量
Perussolo J et al. Influence of the keratinized mucosa on the stability of peri-implant tissues and brushing discomfort: A 4-year follow-up study. Clin Oral Implants Res 2018
切開しても十分な角化歯肉の幅が得られなければ
インプラント上部構造装着後に粘膜移植をする必要がある
歯周外科・インプラント外科
歯肉退縮、狭小化した角化歯肉や進行した角化歯肉の欠損
→遊離歯肉移植術や結合組織移植術などの口蓋粘膜を移植する方法が適応される
デメリット
- 移植片の採取が必要で創部が2か所になる
- 手術時間の延
- 生着しないリスク
- 移植片の瘢痕萎縮
口蓋粘膜移植の移植
より低侵襲な人工真皮テルダーミスを使用した角化粘膜の獲得
テルダーミスとは
- シリコン層とコラーゲン層の2層から構成
- シリコン層は口腔内における汚染・感染防止、外来刺激の遮断、血清成分の漏出防止の作用
- コラーゲン層には、移植先の周囲組織の細胞を取り込んで新しく血管を構築し、角化歯肉を作る作用
テルダーミスを角化歯肉獲得のために使用する利点
- 口蓋などの他部位から歯肉を採取する必要がなく、侵襲が少ない
- 手術時間の短縮
- 歯肉の色調変化がない
人工真皮(テルダーミス真皮欠損用グラフト)を用いたインプラント周囲の角化歯肉の獲得・術式
遊離歯肉の部分でインプラント上部構造から1mmほど離れた部分に粘膜切開を入れる(骨膜上で切開はとどめる)
骨膜上で剥離を行う。少しオーバーコレクション気味に剥離を行い、3mm以上の角化歯肉の確保を試みる
骨膜上で剥離した部分にテルダーミスを設置し、最も離れた部分では骨膜を切開してテルダーミスと粘膜骨膜弁を縫合
サージカルパックをインプラント上部構造と臨在歯との間に押し込むようにして、硬化後、安定させる(2週間)
約2週間後にサージカルパックを除去。
良好な治癒経過で十分な幅の角化歯肉が獲得された。