【Case 11】
左側上顎第1・2大臼歯(#26,27)に対してソケットリフトを応用する症例
左側上顎第1・2大臼歯のシミュレーション症例である。上顎洞までの距離や位置状態を考慮するとソケットリフトの適応と考える。逆に言うと、ソケットリフトを行うことで、理想的な位置へのインプラント埋入が可能になる。
スクリューリテインで、アクセスホールも上部構造の補綴のほぼ中心で理想的な位置で設定できる。上顎洞内へのソケットリフトの骨造成量のシミュレーションもなされている。3D骨透過像の所見ではインプラント・インプラント間の関係、傾斜、位置関係も確認する。
骨幅は問題なく、頬側の骨質がやや疎になっている部分もあるが、おおむね問題ないと思われる。#26, 27の間に骨の疎な部分が残存しているが新生骨ができ始めている状態であり、手術中の確認は必要だがシミュレーションに影響は与えない。
12㎜の長さのインプラントを選択し、ソケットリフトでの骨造成の状態も把握する。頬側方向からの断面では残存骨と、2本のインプラント同士の関係を把握する。#26では、近遠心で骨のレベルに差があることからソケットリフトのドリリングを行う時には注意が必要である。
【Case 10】
右側上顎第1・2大臼歯(#16,17)に対してソケットリフトを応用する症例
右側上顎第1・2大臼歯のシミュレーション症例である。上顎洞までの距離や位置状態を考慮するとソケットリフトの適応と考える。#17では長さ10mmを選択すると、洞内への骨造成を行わなくてもよいかもしれないが、#16ではソケットリフトを行う必要があるので、理想的な12㎜の長さのインプラントを埋入するため、#17,16ともにソケットリフトを選択した。
骨の状態から、スクリューリテインの理想的な部分にアクセスホールを出すことができる。#17の遠心に上顎洞内の隔壁が存在するため、3D骨透過画像でも立体的な関係を把握する。ソケットリフト後のイメージも確認することができる。
先述したように#17では長さ10mmのインプラントを選択して、ソケットリフトを回避することもできるが、#16のソケットリフトも必要なことから、理想的な12㎜を選択した。
歯槽頂と、インプラント位置関係では歯槽頂より約1-2㎜程度深く埋入する。#27の遠心に存在する洞内の隔壁とインプラントの関係を十分に把握して手術に臨む。頬側方向からの断面では臨在歯の歯根との位置関係や深度の確認を行う。
【Case 9】
左側上顎第2小臼歯(#15)に対しソケットリフトを応用する症例
左側上顎第2小臼歯のシミュレーション症例である。上顎洞までの距離や位置状態を考慮するとソケットリフトの適応と考える。サイナスリフトの術式を選択する先生もおられるかもしれないが、ソケットリフトでも十分に行える症例である。理想的な12㎜の長さのインプラントを埋入するため、ソケットリフトを選択した。
骨の状態とソケットリフト手術時に注意すべき点などを3D骨透過像の所見で把握する。本症例ではスリューリテインの理想的な部分にアクセスホールを出すことができる。ソケットリフト時に近遠心の骨のレベルに差があるため、これを考慮してソケットリフトを行わなければならない。
先述したように理想的な長さ12㎜のインプラントを選択するために、洞内へのソケットリフトを選択する。歯槽頂と、インプラント位置関係では頂よりやや深く埋入する。近遠心的な像では、近心の骨レベルと遠心の骨レベルの相違がかなりあることに留意する。また、頬側方向からの断面では臨在歯の歯根との位置関係や深度の確認を行う。
【Case 8】
左側上顎第1大臼歯(#26)(抜歯後2か月)に対してソケットリフトを応用する症例
左側上顎第1大臼歯のシミュレーション症例である。抜歯ご、2か月でCTを撮影している。上顎洞までの距離や位置状態を考慮するとソケットリフトの適応と考える。サイナスリフトの術式を選択する先生もおられるとも思う。理想的な12㎜の長さのインプラントが埋入できる。
骨の状態と臨在歯とインプラント、WAX UPにおける最終補綴形態などを3D画像にて確認する。本症例ではスリューリテインの理想的な部分にアクセスホールを出すことができる。ソケットリフトの骨造成の状態もこの画像でイメージし、把握する。
先述したように理想的な長さ12㎜のインプラントを選択するために、洞内へのソケットリフトを選択する。抜歯後2か月であり抜歯窩が残存しておりX線透過像として描出されているが、新生骨もできかかっていることがうかがえる。頬測、口蓋側ともに骨の歯槽頂よりも深い位置に設定する。頬側からの断面図では、インプラント位置が臨在歯の歯冠歯根境界より深い位置にあるとのイメージもあるが、骨の残存状態を考えるとこの位置になる。臨在歯の歯根との距離なども把握しておく。
【Case 7】
右側上顎第1・2小臼歯(#14,15)においてエキスパンジョンンと骨造成を応用する症例
右側上顎第1・2小臼歯のシミュレーション症例である。患者さんへ上顎洞内への骨造成を示唆したが、歯槽提への骨造成は了承していただいたものの、洞内への骨造成の同意が得られなかった。そのため、#15に関しては長さ10㎜のインプラントを選択した。
骨の状態では、骨幅が非常に狭いことがわかる。インプラントの歯根側寄りの骨は陥凹しており、骨造成をしたほうが良いこともこの時点で考慮する。骨造成の量や手術中のイメージを3D画像で把握するようにする。
WAX UPにおける最終補綴との関係では、スリューリテインにおいて#15でやや頬測寄りにアクセスホールが出ることになるが、おおむね良好な位置であると考える。
先述したように理想的な長さ12㎜のインプラントを選択するために、#14では#13との関係、上顎洞の関係でこの位置しかない。口蓋側の骨が描出されていないため、術中に同部の骨に関しては把握して、場合によって骨造成を行う。#15については、骨幅の問題からエキスパンジョンも含めて対応し、フラップをしっかりと開けて、骨造成を行う必要がある。このような症例では2回法も考慮する。頬側からの断面図では、インプラント・インプラント間の位置関係と歯槽骨頂との関係を確認する必要がある。
【Case 6】
右側上顎第1小臼歯(#14)症例
右側上顎第1小臼歯のシミュレーション症例である。比較的、インプラントの位置を決定しやすい症例である。上顎洞までの距離もあり、上顎骨へのインプラント選択の基準の長さである12㎜が計画できる。
#15は支台歯の状態であるが、WAXUPが適切になされている。骨の状態では、歯根部で頬側に陥凹があることが観察されるが、インプラントの埋入位置などに影響を与える状態ではない。
WAX UPにおける最終補綴との関係では、スリューリテインにおいて中心部にアクセスホールが来るように設計できている。
先述したように理想的な直径4.2mm、長さ12㎜のインプラントが選択されている。断面図での骨の描出が不鮮明であるが、このような場合に、逆に3D画像の骨レベルでの画像が参考になることもある。頬側からの断面図では、インプラント位置と歯槽骨頂との関係とともに、臨在歯の歯冠歯根境界とインプラントの深さとの関係を確認する必要がある。
【Case 5】
左側上顎第2大臼歯(#25)症例
左側上顎第2大臼歯のシミュレーション症例である。抜歯後のソケットプリザベーションを行っており、それにより、骨幅ならびに骨の長さもある程度確保でき、比較的、インプラントの位置を決定しやすい症例である。骨幅も問題なく直径4.2mmが選択され、上顎洞までの距離もあるため、上顎骨へのインプラント選択の基準の長さである12㎜が計画できる。
#28が存在し、サージカルガイドの安定に寄与している。歯冠部では、アクセスホールが歯冠のほぼ中心部に設定され、問題ないと考える。骨の状態では、歯槽頂部の骨が疎であり、描出されていないが、断面図において骨レベルを確認する。最悪、骨レベルの骨がないと判断した場合には12㎜から10㎜にインプラントの長さを変更して埋入することも考慮する。WAX UPにおける最終補綴とインプラントの位置関係を骨透過像で確認する。
先述したように理想的な直径4.7mm、長さ12㎜のインプラントが選択されている。頬側からの断面図では、インプラント位置と歯槽骨頂との関係とともに、臨在歯の歯冠歯根境界とインプラントの深さとの関係を確認する必要がある.
プラットフォームスウィッチを考えて骨内に1-2㎜深く埋入するということでは10mmのインプラントを選択することも考慮する。
【Case 4】
右側上顎第1・2小臼歯(#14,15)において上顎に長さ10㎜のインプラントを選択する症例
右側上顎第1・2小臼歯のシミュレーション症例である。骨幅ならびに骨の長さもある程度確保できているが、#15に関しては上顎洞までの距離の関係で10㎜の長さを選択した。
#14に関しては直径3.7㎜、長さ12㎜が選択された。
#14,15ともスクリューリテインで、最終補綴物のほぼ中心部にアクセスホールが位置するように設定できる。骨の状態では、歯槽頂部や頬側の骨で骨質が疎な部分もあり、3Dでは骨欠損があるように描出されている。WAX UPにおける最終補綴とインプラントの位置関係を骨透過像で確認する。
先述したように#15では直径3.7㎜、長さ10㎜のインプラントが、#14では直径3.7㎜、長さ12㎜を選択した。いずれもエマージェンスプロファイルを含め、この位置しかないというシミュレーションであると考える。インプラントの先端は、上顎洞底の皮質骨に接するように位置を設定している。頬側からの断面では、インプラント位置と歯槽骨頂との関係とともに、臨在歯の歯冠歯根境界とインプラントの深さとともに上顎洞底の皮質骨との位置関係を確認する必要がある。
【Case 3】
右側上顎第2小臼歯、第1大臼歯(#16,15)において傾斜埋入を選択する症例
右側上顎第2小臼歯、第1大臼歯のシミュレーション症例である。骨幅ならびに骨の長さもある程度確保できているが、#16に関しては上顎洞までの距離の関係で10㎜の長さでかつ傾斜埋入を選択した。(患者さんが骨造成に関して難色を示したため)#15に関しては直径4.2㎜、長さ12㎜が選択された。
#16,15ともスクリューリテインで、最終補綴物のほぼ中心部にアクセスホールが位置するように設定できる。骨透過像3D画像では、WAX UPにおける最終補綴とインプラントの位置関係を骨透過像で確認する。
先述したように骨幅は問題ないが、#16では直径4.2㎜を選択したものの長さに関しては上顎洞を避けるために長さ10㎜のインプラントで傾斜埋入を行う設定とした。#15では直径4.2㎜、長さ12㎜を選択した。いずれもエマージェンスプロファイルを含め、この位置しかないというシミュレーションであると考える。インプラントの先端は、上顎洞底の皮質骨に接するように位置を設定している。頬側からの断面では、インプラント位置と歯槽骨頂との関係と上顎洞底の皮質骨との位置関係を確認する必要がある。
【Case 2】
両側上顎第1小臼歯(#14)
両側上顎第1小臼歯のシミュレーション症例である。骨幅ならびに骨の長さもある程度確保できている。#14に関しては、抜歯窩の状態と上顎洞までの距離の関係で12㎜の長さを選択できる。#24に関しては、上顎洞までの距離を考えて10㎜を選択して、歯槽頂より約1㎜深く埋入する設計とした。
#14,24ともスクリューリテインで、最終補綴物のほぼ中心部にアクセスホールが位置するように設定できる。骨透過像3D画像では、WAX UPにおける最終補綴とインプラントの位置関係を骨透過像で確認する。右側に比して左側のインプラントが上顎洞までの距離によって制限されて短くなっているのがわかる。
先述したように骨幅は問題ないが、#14では直径3.7㎜を選択し、抜歯窩の状態を考慮し、歯槽頂よりも2-3㎜深く埋入するように設定した。左側では、上顎洞までの距離が十分に取れないことから長さ10㎜のインプラントを選択し、歯槽頂から1-2㎜、深い位置とした。インプラントの先端は、いずれも上顎洞底の皮質骨に接するように位置を設定している。頬側からの断面では、インプラント位置と歯槽骨頂との関係と臨在歯の歯冠・歯根境界部との関係、上顎洞底の皮質骨との位置関係を確認する必要がある。
【Case 1】
左側上顎第1・2小臼歯(#24,25)症例
左側上顎第1・2小臼歯のシミュレーション症例である。骨幅ならびに骨の長さもある程度確保できている。#24, 25ともに抜歯窩の状態と上顎洞までの距離の関係で12㎜の長さを選択できる。
#24,25ともスクリューリテインで、最終補綴物のほぼ中心部にアクセスホールが位置するように設定できる。3D骨レベル画像では、歯槽頂付近の骨質が疎で描出されていない部分もあるが、これに関しては断面にて確認する。骨透過像では2本のインプラント・インプラントの位置ならびに距離などを確認する。
先述したように骨幅は問題ないが、抜歯後の頬側の歯槽の高さは、口蓋側よりも低くなっているのがわかる。いずれの部位でも頬側の歯槽頂を参考に位置決定を行った。インプラントの先端は、いずれも上顎洞底の皮質骨に接するように位置を設定している。頬側からの断面では、インプラント位置とともに、2本のインプラント関係、特に距離、角度を確認する。