【Case 14】
右側下顎第1大臼歯(#46)症例;粘膜切開、GBR
右側上顎第1大臼歯のシミュレーション症例である。下顎骨の形態と下顎管までの距離の制限などによって、機能咬頭寄りにアクセスホールが出てしまう。3D画像でもわかるように、頬側の可動歯肉がインプラント埋入部近くまで入り込んでおり、インプラントの周囲に固有歯肉を確保するには粘膜切開が必要になる。また、頬測の骨が薄くなることから、若干の骨造成とGBRを施したほうが良いと考えられる症例です。しかし、インプラント体を骨より出しての設計ではなく、あくまでインプラント体は、骨の中に収めて、補助的にGBRを行うのが良いと考える。
頬側の骨が、抜歯後吸収して歯槽骨が、大きく舌側へと入り込んでいるのが観察される。これに伴い可動粘膜も大きく入り込んでおり、固有歯肉をインプラント体の周囲に確保するために切開を行わないといけない。既存の骨内に埋入するために10㎜ではなく8mmの長さのものを選択する。
同部の顎骨ならびに歯槽骨の形態と最終補綴物とのプロファイルから8㎜の長さのインプラントを選択し下顎管との関係を考慮しながら、埋入位置を設定した。近遠心的には#45の歯根との関係についても検証しながら埋入位置を設定した。エマージェンスプロファイルを考えると、もう1-2㎜深く埋入したいが、皮質骨との関係や下顎管との関係で、この位置への設定とした。
【Case 13】
左側下顎第2小臼歯(#35)症例;歯槽骨と顎骨の陥凹が著しい症例
左側上顎第2小臼歯のシミュレーション症例である。抜歯後約1か月程度経過した後のCT像である。埋入位置は、オトガイ孔の直上で、骨でのシミュレーションでは、頬側の歯槽骨が吸収しているように観察される。インプラント体は舌側歯槽骨より深く、頬側の薄い歯槽骨よりも深い位置に設定できると考えるが、埋入時の頬側の骨の吸収状況によっては、補助的に骨造成ならびにGBRを行うのが良いと考える。
抜歯後1か月での所見であり、頬側の可動粘膜の明らかな舌側への入り込みはない。
頬側の骨が、抜歯後吸収していくことが考えられるため、このような症例では、抜歯後即時埋入と同様に、頬側の歯槽骨の高さを十分に把握しておくことが重要である。また、オトガイ孔の位置ならびに下顎管の位置とインプラントの位置関係を3次元的に把握しておくことも重要である。
歯槽骨の形態と最終補綴物とのプロファイルも考慮したが、8㎜のインプラントを深く埋入してエマージェンスプロファイルを整えることも重要ではあるが下顎の基本である長さ10mmのインプラントを選択した。オトガイ神経の状況もトレースのみではなく、実際の画面で検討することも重要である。近遠心的には#34,#36の歯根との関係についても検証しながら埋入位置を設定した。エマージェンスプロファイルを考えると、もう1-2㎜深く埋入し8mmの長さのインプラントを選択することも検討したが、歯槽骨の狭窄と下顎管との関係で、この位置への設定とした。
【Case 12】
左側下顎第1小臼歯(#34)症例;抜歯後の頬側歯槽骨の高さから、骨造成とGBRを考える症例
左側下顎第1小臼歯のシミュレーション症例である。抜歯後約1か月程度経過した後のCT像である。埋入位置は、オトガイ孔の前方で、下顎管との関係には問題がない。
埋入時の頬側の骨の吸収状況によっては、補助的に骨造成ならびにGBRを行うのが良いと考える。
抜歯後1か月での所見であり、頬側の可動粘膜の明らかな舌側への入り込みはない。
頬側の骨が、遠心部でやや欠損している可能性が考えられる。深さに関してはエマージェンスプロファイルも含めて問題ないと思われる。このような症例では、抜歯後の変化や、少しのドリルのブレで頬側の薄い皮質骨の残存状況が変化するので、実際の手術ではFlapを開いて確認するか、ダイセクターのようなもので頬側の残存骨の状況を把握して必要であれば、骨造成、GBRを行う必要がある。
歯槽骨の形態と最終補綴物とのプロファイルも考慮し、10㎜のインプラントを深く埋入してエマージェンスプロファイルを整えることとした。最終補綴物との位置関係を考慮しながら、皮質骨内、あるいはインプラント体の先端を少し、皮質骨に充てるなどで、インテグレーションを得る工夫が重要となる。
近遠心的には#33,#35の歯根との関係についても検証しながら埋入位置を設定した。
【Case 11】
左側下顎第2大臼歯(#37)症例:粘膜切開を行う症例
左側下顎第2大臼歯のシミュレーション症例である。左側第1大臼歯の抜歯後、#36部に埋入し、その後、第2大臼歯を失い、同部にインプラントの埋入を行った。
骨幅や骨の形態も大きな問題はなく、下顎管との距離も十分で埋入に関しての大きな問題はない。
骨幅や骨の高さなどに問題がないこのような症例に関しては、インプラント埋入部位と顎堤ならびに頬粘膜との位置関係に留意する必要がある。固有粘膜内に十分収まり、頬粘膜を大きく動かしてもインプラント周囲の固有粘膜が動かない場合には、Flaplessを選択してもよいが、固有歯肉をインプラント周囲に得るために、積極的に切開を行ってもよいと考える。
歯槽骨の骨幅は問題なく、最終補綴物とのプロファイルも考慮し、長さ10㎜、直径4.7㎜のインプラントを選択した。下顎管との距離も十分で、骨質もある程度、担保できていると考える。
【Case 10】
左側下顎第1小臼歯(#34)症例:抜歯後ソケットプリザベーションを行った症例
左側下顎第1小臼歯のシミュレーション症例である。左側第1小臼歯の抜歯後、#34部に人工骨とオープンメンブレンによるソケットプリザベーションを行った。その後、同部にインプラントの埋入を行った。抜歯後の骨欠損は頬側に生じるが、その歯槽骨の吸収が抑えられた場合には、よりよいインプラントの埋入深度を得ることができると考える。
抜歯後の既存骨の状態が3D像で描出されている。頬側の歯槽頂側の骨欠損があるのが観察される。下顎管、オトガイ孔との関係ではインプラント体は前方に位置しており、問題ないと考える。
歯槽骨の骨幅は問題ないが、頬側の皮質骨の高さが既存骨では得られていないのが、観察される。最終補綴物とのプロファイルも考慮し、長さ10㎜、直径3.7㎜のインプラントを選択した。頬側の人工骨が安心できる状態であればこのまま骨になることで、骨縁下1~2mmの深さに埋入できることになるが、骨化が不十分な場合には、GBRなどを考慮する。
【Case 9】
左側下顎第1・2大臼歯(#36,37)症例:大臼歯2本症例
左側下顎第1・2大臼歯のシミュレーション症例である。左側第1大臼歯臼歯の抜歯後、#36,37部にインプラントの埋入を計画した。#36の抜歯後の頬側骨の形態などの問題があり切開、粘膜骨膜弁、場合により骨造成、GBRを考慮する症例である。
抜歯後の既存骨の状態が3D像で描出されている。#36は頬側の歯槽頂側の骨欠損があるのが観察される。理想的には、骨の約2㎜ほどの深さに埋入したいために、骨造成、GBRを考慮する。下顎管との関係は問題なく、直径4.7㎜、長さ10㎜のインプラントが選択できる。2本のインプラントの位置関係も3D画像で確認、考慮する。
歯槽骨の骨幅は問題ないが、抜歯間もない#36では頬側の皮質骨の高さが不明である。CTを撮影した時点よりも、手術を行う時点では、骨がどのように変化しているのかがわかりにくい部分もある。かといって#36だけを既存骨の深くに埋入するともう1本のインプラントとのバランスが取れないという点で問題を生じる(連結するという意味ではない)。最終補綴物とのプロファイルも考慮し、長さ10㎜、直径4.7㎜のインプラントが選択できた。手術時点で#36の頬側の骨が十分ではないことも考慮して、骨縁下1~2mmの深さに埋入するためにGBRなどを考慮する。
【Case 8】
右側下顎第1・2大臼歯(#46,47)症例:大臼歯2本症例
右側下顎第1・2大臼歯のシミュレーション症例である。抜歯後かなり経過しており、顎骨、粘膜などはほぼ完全に治癒している状態である。#36,37部にインプラントの埋入を計画した。骨の状態など、特に大きな問題はないが、#37部の可動粘膜の歯槽部への入り込みと固有粘膜の幅の確保から切開は必要かと思われる。
アクセスホールの位置などは最終補綴の歯冠において問題ない位置に設定されている。既存骨の状態が3D像で描出されている。下顎管との関係は問題なく、直径5.2㎜、長さ10mmと直径4.7㎜、長さ10mmインプラントが選択できる。2本のインプラントの位置関係も3D画像で確認、考慮する。
【Case 7】
右側下顎第1・2大臼歯(#46,47)症例:大臼歯2本症例
右側下顎第1・2大臼歯のシミュレーション症例である。抜歯後かなり経過しており、顎骨、粘膜などはほぼ完全に治癒している状態である。#46,47部にインプラントの埋入を計画した。骨の状態など、特に大きな問題はないが、#47部の可動粘膜の歯槽部への入り込みと固有粘膜の幅の確保から切開は必要かと思われる。
アクセスホールの位置などは最終補綴の歯冠において問題ない位置に設定されている。既存骨の状態が3D像で描出されている。下顎管との関係は問題なく、直径5.2㎜、長さ10mmと直径4.7㎜、長さ10mmインプラントが選択できる。2本のインプラントの位置関係も3D画像で確認、考慮する。
【Case 6】
右側下顎第2大臼歯(#47)症例: 抜歯後1ヶ月でのCT撮影、シミュレーション症例
右側下顎第1・2大臼歯のシミュレーション症例である。抜歯後約1か月で抜歯窩はまだ、幼弱な骨の状態で描出される、粘膜に関しては可動粘膜の舌側への入り込みは少なく、ほぼ生じていない。
アクセスホールの位置などは最終補綴の歯冠においてほぼ理想的な位置で設定される。既存骨の状態が3D像で描出されている。頬側の歯槽骨に関しては、骨の薄い部分が描出されていない部分もあるが、下顎管との関係では問題なく、直径4.7㎜、長さ10mmのインプラントが選択できる。
抜歯窩には幼弱な線維性骨化が始まっていると考えられる。下顎管との位置関係は問題ない。最終補綴物とのエマージェンスプロファイルなどを十分に考慮してインプラントの選択と埋入位置などを決定する。頬側の骨レベルを参考にして骨レベルより深く埋入することと歯肉までの距離は臼歯部でもあり、6mmくらいまでで設定したい。
【Case 5】
右側下顎第1大臼歯(#46)症例: 抜歯後1ヶ月でのCT撮影、シミュレーション症例
右側下顎第1大臼歯のシミュレーション症例である。抜歯後約1か月で抜歯窩はまだ、幼弱な骨の状態で描出される、粘膜に関しては可動粘膜の舌側への入り込みは少ない。
アクセスホールの位置などは最終補綴の歯冠においてほぼ理想的な位置で設定される。既存骨の状態と下顎管とインプラント体の位置関係も3D像で描出されているが、問題なく、直径4.7㎜、長さ10mmのインプラントが選択できる。
第1大臼歯の抜歯窩においては、近心根のあたりにインプラント体が位置することになる。このことは、ほぼ下顎の第1大臼歯においては共通の事項であり、抜歯前に患者さんに説明するあるいはインプラントの計画をするときには頭の中に入れておきたいことの一つである。下顎管との位置関係は問題ない。最終補綴物とのエマージェンスプロファイルなどを十分に考慮して、頬側の骨レベル、インプラントの選択と埋入位置などを決定する。頬側の骨レベルを参考にして骨レベルより深く埋入すること、既存骨で初期固定が十分に取れることなどを考慮して最終埋入位置を決定する。
【Case 4】
左側下顎第1大臼歯(#36)症例:抜歯後1ヶ月でのCT撮影、シミュレーション症例
左側下顎第1大臼歯のシミュレーション症例である。抜歯後約1か月で抜歯窩はまだ、幼弱な骨の状態で歯根の形態もわかる状態で描出される、粘膜に関しては可動粘膜の舌側への入り込みは少ない。
最終補綴の歯冠におけるアクセスホールの位置などは、ほぼ理想的な位置で設定される。既存骨の状態と下顎管とインプラント体の位置関係も3D像で描出されているが、問題なく、直径4.7㎜、長さ10mmのインプラントが選択できる。
【Case 3】
左側下顎第1・2大臼歯(#36,#37)症例: 第3大臼歯
抜歯ならびに下顎枝嚢胞摘出後のシミュレーション症例
左側下顎第1.2大臼歯のシミュレーション症例である。第3大臼歯から下顎枝にかけて嚢胞が存在し、その摘出後の前方の2歯欠損に対するインプラント埋入シミュレーション症例である。
抜歯ならびに嚢胞摘出後、約1か月でCTを撮影し、治療計画:シミュレーションを行った。
最終補綴の歯冠におけるアクセスホールの位置などは、ほぼ理想的な位置で設定される。既存骨の状態と下顎管とインプラント体の位置関係も3D像で描出されているが、問題なく、直径4.7㎜、長さ10mmのインプラントが選択できる。2本のインプラントの間隔、傾き、位置などの相互関係も考慮する。
第1大臼歯、第2大臼歯とも下顎骨の形態はほぼ同様であるが第2大臼歯のインプラントの先端が皮質骨を削ることに留意する。サージカルガイドが万が一ずれた場合も想定してある程度は余裕を持たせた設計が必要な場合もある。
下顎管との位置関係は問題ないが、近遠心的な像で#37の遠心部分で嚢胞摘出後の骨欠損部においての新生骨の評価が重要であるとともに、手術中もこの部分での骨がどのレベルまであるかを確認することが大切である。
【Case 2】
左側下顎第1大臼歯(#36)症例
左側下顎第1大臼歯のシミュレーション症例である。第2大臼歯も存在し、サージカルガイドで安定してインプラント埋入ができる症例と考える。抜歯後、かなりの期間が経過しており、歯肉や骨の状態も問題ない。
最終補綴の歯冠におけるアクセスホールの位置などは、ほぼ理想的な位置で設定される。粘膜も抜歯後、経過しており、可動粘膜がやや歯槽提に入り込んでいるようにも見えるが、最終的に切開を行うかサーキュレーションメスで粘膜を円形に切除するかは、術中判断になると考える。下顎管も下方に存在し、骨幅や骨の高さも問題ない。直径5.2㎜、長さ10mmのインプラントが選択できる。
下顎骨の形態、骨幅、骨の高さ、下顎管までの距離のいずれも全く問題ない。エマージェンスプロファイルも、直径5.2mmを選択することで、ある程度、理想に近づけることができる。
【Case 1】
右側下顎第2大臼歯(#47)症例
右側下顎第2大臼歯のシミュレーション症例である。第3大臼歯も存在し、サージカルガイドで安定してインプラント埋入ができる症例と考える。第3大臼歯は、サージカルガイドを用いてインプラント埋入直後に、抜歯を予定しており、そのような場合には、Wax upを#48とのコンタクトよりも理想的な形態で作成するかなどについて技工士さんと相談しておく必要がある。また、抜歯の原因が根尖病巣であり、舌側に瘻孔を作っていた症例であり、その評価も必要である。
最終補綴の歯冠におけるアクセスホールの位置などは、ほぼ理想的な位置で設定される。粘膜も抜歯後、経過しており、可動粘膜がやや歯槽提に入り込んでいるように見え、固有粘膜の確保のためには切開を行ったほうが良いのではないかと考える。下顎管との位置関係も問題なく直径5.2㎜、長さ10mmのインプラントが選択できる。
下顎骨の形態、骨幅、骨の高さは問題ないが、初期固定を得るために、抜歯窩のみならず少し既存の残存骨でインプラント体がある程度安定するように設定する。新生骨ができ始めてるとは言え、抜歯窩の評価と舌側の皮質骨の評価が重要になる。