上顎前歯少数歯欠損に対するインプラント手術におけるシミュレーション症例解説(2020.1)

【Case 12】

右側上顎犬歯(#13)症例

右側上顎犬歯のシミュレーション症例である。抜歯後の吸収状態から歯肉が歯根部方向へ退縮し高位となっており、最終補綴形態がWAX UP段階で歯冠長の長いものになっている。このような場合には患者さんとスマイルラインの確認など最終補綴形態の説明を行うことが重要になる。

骨の状態から、口蓋側のスクリューリテインの部位にアクセスホールを出すことは困難であったため、セメントリテインとしてのアクセスホールの位置を設定した。骨レベルでは、歯槽頂レベルでの唇側の骨がどれだけ残存しているかを検討するが、本症例ではある程度唇側の骨の厚みも維持されていることがわかる。骨透過像での3D画像では、最終補綴形態とインプラントの位置関係を3次元的に確認する。

本症例では唇側に骨がやや鋭的に突出していることが特徴になる。これを削合することで歯肉の歯根側への吸収が進むためこの唇側の骨は温存するように努める。12㎜の長さのインプラントを選択して梨状孔の下縁の皮質骨にちょうど接するように位置決めを行う。また口蓋側の骨が確保できるレベルまでの深度にすることも重要である。唇側方向からの断面では臨在歯の歯根との位置関係や深度の確認を行う。

 


 

【Case 11】

右側上顎側切歯(#12)唇側の骨が吸収し不規則な形態を示す症例

右側側切歯のシミュレーション症例である。骨の吸収状態から唇側、特に歯槽頂レベルの骨が吸収して不規則な形態をしているのが観察できる。

骨の状態から、スクリューリテインとして口蓋側にアクセスホールが設定できるようにすることは困難であったため、セメントリテインとしてアクセスホールの位置を設定した。骨レベルでは、歯槽頂レベルでの唇側の骨が吸収していることを確認して、三次元的なイメージの把握と骨造成のイメージを確認する。

本症例では唇側の歯槽頂付近の骨が急に狭く不規則な形態をしていることを確認する。

この部分に骨造成してGBRするほうが、最終的なインプラントの保持には優位であることが予想できる。歯槽頂から歯根側にはある程度十分な骨幅があることも確認できる。14㎜の長さのインプラントを選択して梨状孔の下縁の皮質骨にちょうど接するように位置決めを行う。また口蓋側の骨が確保できるレベルまでの深度を設定することも重要である。唇側方向からの断面では臨在歯の歯根との位置関係や進度の確認を行う。

 


 

【Case 10】

右側上顎側切歯(#12)抜歯後2か月症例

右側上顎側切歯のシミュレーション症例である。

抜歯後2か月目のCT画像でのシミュレーションである。最終補綴形態から考えると、ある程度、理想的な部位に埋入できると判断する。直径3.7mmを選択し、長さ12㎜のインプラントを選択した。

骨の状態によりセメントリテインとの最終補綴として、アクセスホールの位置を決定した。骨レベルでは、抜歯窩の唇側の骨が歯根部側で欠損しているように描出されているが、断面画像で確認すれば問題ないと考える。

本症例では抜歯窩とインプラント体とのギャップならびに位置関係を確認する。12㎜の長さのインプラントを選択して梨状孔の下縁の皮質骨に近接するように位置決めを行う。また口蓋側の骨レベルより約1㎜の深さを確保できるレベルまでの深度にすることも重要である。隣接歯の歯根との距離も適切であると考えられ問題ない。

 


 

【Case 9】

左側上顎犬歯(#23)抜歯後2か月症例

左側上顎犬歯のシミュレーション症例である。抜歯後2か月目のCT画像でのシミュレーションである。最終補綴形態から考えると、直径の小さいインプラントを選択しなければならないの骨幅しかない。直径3.7mmを選択することも考えたが断面での観察から、断念して直径3.4mとした。

骨の状態によりセメントリテインとの最終補綴として、アクセスホールの位置を決定した。骨レベルでは、抜歯窩の唇側の骨が欠損しているように描出されているが、断面画像で確認すれば問題ないと考える。

本症例では抜歯窩と唇側の残存骨とインプラント体とのギャップならびに位置関係を確認する。12㎜の長さのインプラントを選択して梨状孔の下縁の皮質骨にちょうど接するように位置決めを行う。また口蓋側の骨が確保できるレベルまでの深度にすることも重要である。直径の選択を3.4㎜にするか3.7㎜にするかを悩むところであるが、骨幅を考慮して3.4㎜を選択した。

 


 

【Case 8】

右側上顎中切歯(#11)症例

右側上顎中切歯のシミュレーション症例である。抜歯後3か月目のCT画像でのシミュレーションであり、ソケットプリザベーションにより、抜歯窩の唇側の骨が保持されながら、新生骨ができているのが、断面図で確認できる。直径3.7mmx14mmのインプラントを選択することができた。

骨の状態によりセメントリテインとの最終補綴として、アクセスホールの位置を決定した。骨レベルでは、抜歯窩の唇側の骨が欠損しているように描出されているが、ソケットプリザベーションを行っており、断面画像で唇側の骨造成部にも新生骨ができており問題ないと考える。

本症例ではインプラント体と唇側、口蓋側の骨とも既存骨のレベルが保持されていると考える。ソケットプリザベーションにて造成した骨が骨レベルよりやや深めの深度でのインプラントポジションを確保できていると考える。14㎜の長さのインプラントを選択して梨状孔の下縁の皮質骨に近接するように位置決めを行う。

 


 

【Case 7】

左側上顎中切歯(#21)ソケットプリザベーション症例

左側上顎中切歯のシミュレーション症例である。抜歯後2か月目のCT画像でのシミュレーションである。ソケットプリザベーションで、顆粒状の人工骨が抜歯窩に存在しているのが確認できる。骨幅が十分ではないためインプラントの傾斜がどうしても最終補綴物の唇側にアクセスホールが出るような設計になってしまっている。しかし、歯冠の切端部付近へのアクセスホールの設定であり、セメントリテインでは問題ない。

骨幅と歯槽骨の状態によりセメントリテインとの最終補綴として、アクセスホールの位置を決定した。骨幅の関係で口蓋側に傾斜して、アクセスホールの位置を口蓋側に設定できなかったが、この程度の唇側傾斜ではセメントリテインで補綴を行った場合には問題ない。

本症例では抜歯窩にソケットプリザベーションを行っており、さらに若干の垂直的な骨も確保もできていると考える。14㎜の長さのインプラントを選択しても梨状孔の下縁の皮質骨までに距離があるが16㎜は必要ないと考え14mmのインプラントを選択した。口蓋側では、既存骨のレベルにインプラントの上端が設定されている。

 


 

【Case 6】

右側上顎中切歯(#11)抜歯後2か月、唇側への骨造成を行う症例

右側上顎中切歯のシミュレーション症例である。

抜歯後2か月目のCT画像でのシミュレーションである。最終補綴形態から考えると、ある程度、理想的な部位に埋入できると判断する。直径3.7mmを選択し、長さ12㎜のインプラントを選択した。この症例のポイントは、抜歯窩の状態とともにインプラントの最深部での骨幅が、十分ではないことであり、このシミュレーションから考えると、幅の狭くなっている部分で唇側に骨造成を行うことも考慮しなければならない。

骨の状態によりセメントリテインとの最終補綴として、アクセスホールの位置を決定した。骨レベルでは、抜歯窩の唇側の骨が歯根部側で欠損しているように描出されているが、断面画像で確認すれば問題ないと考える。ただ、一方でインプラント最深部相当部の骨が陥凹していることも確認できる。

本症例では抜歯窩とインプラント体とのギャップならびに位置関係を確認するとともにインプラント最深部付近での骨幅が著しく狭いことを確認しなければならない。12㎜の長さのインプラントを選択して最深部の位置と同部の骨幅の関係を確認する。また口蓋側の骨レベルより約1㎜の深さを確保できるレベルまでの深度にすることも重要である。隣接歯の歯根との距離も適切であると考えられ問題ない。

 


 

【Case 5】

左側上顎中切歯(#21)術中に唇側の骨を確認する必要がある症例

左側上顎中切歯のシミュレーション症例である。

抜歯後2か月目のCT画像でのシミュレーションである。最終補綴形態から考えると、ある程度、理想的な部位に埋入できると判断する。直径3.7mmを選択し、長さ14㎜のインプラントを選択した。抜歯窩の唇側に薄い骨が存在するものの、唇側の一部は欠損または陥凹している可能性もある。

骨の状態によりスクリューリテインでもセメントリテインでも対応できる位置にアクセスホールが設定できる。骨レベルでは、歯槽頂部付近に唇側のブリッジがあり3Dでもその状態が描出されている。

本症例では抜歯窩の唇側歯槽頂部では薄いながらブリッジが形成されていることがわかるが、断面図では骨のない部分もあるようにも見える。シミュレーションの口蓋側の骨レベルより約1㎜の深さを確保できるレベルまでの深度にすることも重要である。隣接歯の歯根との距離も適切であると考えられ、問題ない。

 


 

【Case 4】

右側上顎中切歯(#11)ソケットプリザベーションにより抜歯窩に顆粒状の人工骨と再生骨の良好な形成を認める症例

右側上顎中切歯のシミュレーション症例である。

抜歯後ソケットプリザベーションを行っており、術後4か月目のCT画像でのシミュレーションである。抜歯窩に顆粒状の人工骨と再生骨の良好な形成が見られる。唇側の骨も保持されている。最終補綴形態から考えると、ある程度、理想的な部位に埋入できると判断する。直径3.7mm長さ14㎜のインプラントを選択した。

骨の状態によりセメントリテインで対応できる位置にアクセスホールが設定できる。骨レベルでは、骨造成部の歯槽頂部付近の骨も十分に描出られており、唇側の骨も問題ない。

抜歯窩に顆粒状の人工骨と再生骨の良好な形成が見られる。唇側の骨も保持されている。

唇側、口蓋側の骨とも最上部から、2㎜ほど深い部分に埋入されている。梨状孔の下縁の皮質ことまでは達していないが、14㎜の選択をできており、十分にオステオインテグレーションが、維持できると考えた。隣接歯の歯根との距離も適切であると考えられ、問題ない。

 


 

【Case 3】

右側上顎犬歯、第1小臼歯(#13,14)症例

右側上顎犬歯、第1小臼歯のシミュレーション症例である。

鼻腔と上顎洞との関係を考慮しなければならないCT画像でのシミュレーションである。最終補綴形態から考えると、理想的な部位に埋入できると判断する。#13は直径4.2mm、#14は直径3.7mm長さ12㎜のインプラントを選択した。

骨の状態によりスクリューリテインで対応できる位置にアクセスホールが設定できる。骨レベルでは、骨造成部の歯槽頂部付近の骨が描出されていない部分もあるが、断面図では頬側の骨も問題ない。骨透過像では鼻腔と上顎洞とインプラントの位置関係とインプラント・インプラント間の距離、位置関係を確認する。

頬側に骨があることを確認しながら、口蓋側、頬測ともにある程度の深さ、骨頂部から1-2㎜深い部位に埋入するようにシミュレーションする。

 


 

【Case 2】

右側上顎側切歯(#12)症例

右側上顎側切歯のシミュレーション症例である。

骨幅、骨の高さともに問題ない症例である。最終補綴形態から考えると、ある程度、理想的な部位に埋入できると判断する。#12は直径3.7mm、長さ14㎜のインプラントを選択した。

頬側に十分に骨があることを確認しながら、口蓋側、唇ともにある程度の深さ:骨頂部から1-2㎜深い部位に埋入するようにシミュレーションする。

 


 

【Case 1】

左側上顎中切歯(#21)症例

左側上顎中切歯のシミュレーション症例である。

骨幅、骨の高さともに問題ない症例である。最終補綴形態から考えると、ある程度、理想的な部位に埋入できると判断する。直径3.7mm、長さ12㎜のインプラントを選択した。

頬側に十分に骨があることを確認しながら、口蓋側、唇ともにある程度の深さ:骨頂部から約1㎜深い部位に埋入するようにシミュレーションする。

 

 

 

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