インプラント体について

1.チタンとチタン製インプラントの歴史

インプラント体の骨への結合はチタン金属が重要な役目をする。そのチタンは壷に付いていた砂鉄からみつかった。チタンとチタン合金は歯科と整形外科で長い間使われてきた。チタンの優れた生体適合性は確認されている。チタン表面に酸化チタンTiO2層が形成されこの酸化チタン層が生体親和性に関与している。

about-implant_img02%e5%90%8d%e7%a7%b0%e6%9c%aa%e8%a8%ad%e5%ae%9a-1

 

 

 

 

 

about-implant_img03

about-implant_img04

about-implant_img05


2.インプラントと天然歯

インプラントの構造であるフィクスチャー・アバットメント・上部構造などの名称はインプラント治療を行う場合にまず覚えないといけない名称である。天然歯とインプラントの違いに関しては多くの要点があるが、臨床家において最も注意が必要なのは、インプラント周囲の軟組織の状態と歯根膜の存在であろう。特にインプラントの周囲に歯根膜がないことは、上部構造が装着された後の咬合調整に大きく影響する。すははち、天然歯には歯根膜の被圧変位量25μmが存在するのに対してインプラント周囲には被圧変化は存在しない。このためインプラントの上部構造における咬合調整時にインプラントは天然歯より数ミクロン低く調整されるべきである。

about-implant_img06about-implant_img07

 

歯の周囲にある粘膜は歯肉と呼ばれていますが、歯が抜けた後は瘢痕組織(=はんこんそしき:傷跡が線維化した組織。これが過剰に増殖したものがケロイドです)になります。インプラントは瘢痕組織に植立するため、歯肉とは少し違う特徴があります。そのため、インプラント周囲の歯肉はインプラント周囲粘膜と呼ばれます。

about-implant_img08

歯と歯肉は接合上皮(1mmの上皮付着)と歯肉線維(1~1.5mmの線維性付着)により結合していますが、インプラントと周囲粘膜は接合上皮(2mm : チタンとヘミデスモゾーム結合しているとする考えと、ただ接しているだけとする考えがあります)と骨面までに約1mm幅の結合組織(インプラントとは平行に走行しているだけで結合していません)により接しています。また、インプラントで線維芽細胞が少ないということは、感染に対する修復能力が小さいことを意味します。

以上のことから、インプラント周囲粘膜は歯肉と類似しているけれども感染に対する抵抗力の小さな瘢痕組織であるといえます。

about-implant_img09


3.インプラントの構造

インプラントの構造としてはインプラント体(フィクスチャー)アバットメント、上部構造からなる。しかしその連結様式に関してスクリューリテインとセメントリテインがあることを知っておかなければならない。about-implant_img10about-implant_img11

 

 

 

 

 

about-implant_img12


4.インプラントの種類

スウェーデンのルンド大学医学部教授であるペル・イングヴァール・ブローネマルクが1952年、兎の脛にチタン製の生体顕微鏡を取り付け、微少血流の観察実験を行っていた。その器具を外そうとした際、チタンと骨がくっつき外せなくなったことより、チタンと骨の組織が拒否反応を起こさず結合することを発見、この現象をオッセオインテグレーションと名づけた。オッセオインテグレーション(英語: Osseointegration)とは、チタンと骨が光学顕微鏡のレベルで直接的に一体化した状態の事。ラテン語で骨を表すosと英語で統合を表すintegrationからの造語。近年主流のデンタルインプラントにおける重要な治療概念である。1980年代、トロント大学のザーブ教授はブローネマルク教授と共同でオッセオインテグレーション・インプラントによる世界初の複製研究をトロント大学で実施し、1982年に世界初のインプラント・トロント会議を開催しました。

Osseointegrationが獲得できない材質では,インプラントの材長期的に安定した臨床成績は得られない。その点からインプラントの材質は1.純チタン、2.チタン合金、3.ハイドロキシアパタイト、4.ジルコニアが選択される。ジルコニア(二酸化ジルコニウム、化学式:ZrO2)は 、ジルコニウムの酸化物である。常態では白色の固体。融点が2700℃と高いため、耐熱性セラミックス材料として利用されている。また、透明でダイヤモンドに近い高い屈折率を有することから模造ダイヤとも呼ばれ、宝飾品としても用いられている。

インプラントの形状では、ブレード型,中空シリンダー型,充実シリンダー型など,様々なインプラントが開発され,臨床応用されてきたが,現在のインプラントの形状は充実スクリュー型に落ち着き,そのほとんどがストレートタイプまたは先細りのテーパータイプである。

about-implant_img13

特にブレードタイプのインプラントを今後、埋入することはないと考えられる。逆に摘出するケースがあると思われるので、摘出手術所見を以下に示す。

about-implant_img14

ストレートタイプの特徴は、円筒型のインプラント体で、植立時に圧縮力が周囲骨に加わらないため、骨の圧迫が起こりにくいことが挙げられる。

テーパータイプの特徴は、先細りの円筒形のインプラント体で、特に歯根の近接した部位や前歯部の唇側が陥凹した部位への植立に有効であることが挙げられる。

about-implant_img15

インターナル・エクスターナル インプラント

「回転防止機構はネジで土台や被せ物を止めたときにくるくると回らないように」

クレストモジュールのインターナル・エクスターナルはデザインに影響します。

1.インターナル → アバットメントの回転防止機構がインプラント体の内側にある

・利点:飛び出しがないので手術時に軟組織で覆いやすくなっている。

・欠点:回転防止機構はエクスターナルに比べてインプラント内の中深くに存在する。

スレッドが低くなる(スレッドは回転防止機構よりに付与できないので)

2.エクスターナル → アバットメントの回転防止機構がインプラント体の外側にある

利点:スレッドがより上方に位置できる。(アバットメントスクリューの直径は細くインプラント体の外壁はより厚いため)今後はスレッドがインプラントの頂上部に達するかもしれない。

about-implant_img16about-implant_img17

各インプラントメーカーが様々な表面形状のインプラントを販売しているのが現状である。化学的な処理を加え、早期骨治癒を刺激し骨治癒のプロセスを速める表面性状やレーム溶射法はアセチレン・ガスを熱源とする溶射法で良質かつ安定なHA焼成体を作成し生体親和性を得ようとしている。

about-implant_img18about-implant_img19

about-implant_img20

ピックアップ記事

  1. テルダーミス真皮欠損用グラフト
    インプラント周囲には固有歯肉(角化歯肉)が存在する方が望ましい プラークの除去が用意になる…
  2. 【Q】インプラント周囲の角化組織(固有歯肉)は必要なのでしょうか?またどれくらいの幅が必要か…
  3. リッジ(ソケット)プリザベーションが大切である理由抜歯後の硬組織の吸収が大きく(抜歯後6ヶ月の平…
歯科医院ホームページ作成
PAGE TOP
CLOSE
CLOSE