左側下顎第2小臼歯ならびに第1大臼歯 欠損症例
40歳代 男性
第1大臼歯(#36)に関しては根尖性歯周炎と根分岐部病変のために抜歯の適応と考え、抜歯を行った・抜歯後2か月経過後、CTならびに口腔内の模型を印象して手術に臨んだ。第2大臼歯(#35)にも根尖病巣が存在したが、これに関しては患者さんと相談し、症状が出ないようであればそれまで使いましょうということになっている。また、ブリッジの支台になっている第1小臼歯にも2次カリエス(インレーという詰め物の下に、う蝕)が存在する。
LANDmarker(iCAT)の画像。補綴主導を考え埋入位置を計画。上部構造の位置を考慮した埋入位置を計画。
LANDmarker(iCAT)による埋入シミュレーション画像。左側第2小臼歯(#35)
骨頂部の幅が狭いため、しっかり骨面に埋まる位置に計画。
LANDmarker(iCAT)による埋入シミュレーション画像。左側第1大臼歯(#36)
抜歯窩への埋入となる。ドリル並びにインプラントが頬側(矢印方向)に流されやすいため、サージカルガイドを用いて流されないようにする。
iCATから送られてくるドリルプロトコル。手順に沿って進めていく。
Landmark Guide(iCAT)の的心ガイドを装着し、サーキュレーションメスで固有歯肉のインプラント埋入窩部分に丸形の切開を加えている。
FINESIA HA Bone Level Tapered type(京セラ) 左側下顎第2小臼歯部(#35)に直径3.7/長さ10mm、左側下顎第1大臼歯(#36)に直径4.7/長さ10mmを埋入する計画とした。
サーキュレーションメスでの切開後に粘膜骨膜を除去することで骨面を露出させる。この時、少量の出血を認める。左側下顎第1大臼歯(#36)では直径4.7mmのインプラント埋入予定ではあるが、サーキュレーションメスは直径3.7mm用を使用している。
Landmark Guide(iCAT)の的心ガイドを装着し、左側下顎第1大臼歯部のインプラント埋入窩を形成している所見。パイロットドリルとしてガイドキーを装着して直径3.7mm用のドリルで、ドリリングを行う。真ん中の画像が示す様にガイドに沿ってドリリングされる。ガイドキーが浮かないようにしっかりと抑えることも重要である。左図は、最終ドリルによるドリリングである。ガイドキーが外されており、しっかりとインプラント窩を形成する。
左側下顎第2小臼歯(#35)部にインプラント埋入窩形成後、インプラント埋入を行っている。
インプラントサイズ及びタイプ:FINESIA HA Bone level Tapered type(京セラ) 直径3.7mm/長さ10mm
ガイドに沿うように埋入していくが、私は10→15→20→25→30→35N/cmとトルクをあげていく。35N/cm以上の場合にはトルクレンチを用いて、埋入トルクを感じながら、逆回転、正回転、逆回転、正回転という具合に、骨に圧迫をかけないように埋入していく。ガイドを外しての埋入トルクのチェックも重要になる。右図で、トルクレンチによる埋入を行っているのがわかる。
左側下顎第1大臼歯(#36)部にインプラント埋入窩形成後、インプラント埋入を行っている。
インプラントサイズ及びタイプ:FINESIA HA Bone level Tapered type(京セラ) 直径4.7mm/長さ10mm
左側下顎第2小臼歯(#35)ならびに1大臼歯部(#36)へのインプラントの埋入後の口腔内所見。粘膜下の予定通りの深度に埋入されている。出血などはほとんどない。
手術内容:左側下顎第2小臼歯ならびに1大臼歯部 インプラント埋入術
埋入トルク:30N/cm(#35,#36とも)
麻酔:笑気鎮静・モニター下
局所麻酔:2%キシロカイン(1/80,000Epi) 7.2ml
手術時間:28分
埋入後、パノラマX-Pにて状況の確認を行った。予定された部位に埋入されている。右図は最終補綴物装着時の確認デンタルX-P所見
最終補綴物装着時の口腔内所見。
抜歯、待機期間中に義歯を入れて、粘膜における違和感や取り扱いの面で短い期間であったが苦労されたので、インプラントの上部構造が入った時には非常に喜ばれていた。