エクスパンジョン・スプリットクレストインプラント症例ケース02

右側上顎側切歯(#12)の歯根破折 抜歯同時埋入エクスパンジョン症例

(20歳代 女性)

右側上顎側切歯の歯根破折で破折線は骨縁下まで及んでおり、保存不可能と診断した。周囲の骨の残存状態や感染の有無を考慮し、唇側に骨が存在し、抜歯後の歯槽骨の変化も予測し、抜歯同時埋入と判断した。他に前歯部の前突感を改善したいとのことで中切歯は補綴し、左側側切歯はラミネートべニアによる補綴も同時に行うこととした。

患者さんは、抜歯インプラント手術後約5か月でインプラント補綴によりきれいな前歯ができたと笑顔で喜んでいただけました。


LANDmarker(iCAT)の画像。両側中切歯、側切歯の最終補綴をイメージしワックスアップしたものを画像に取り込み埋入位置を計画した。前歯なども冠のやり替え、ラミネートべニアによる最終補綴形態をワックスアップし、それを画像に取り込んで作成している。


埋入部位のCT画像。スペースが狭く、また、唇側の骨が歯根部【インプラントでは中間部】で非常に狭くなっており、エクスパンジョンを併用した抜歯、即時埋入を計画した。

FINESIA HA Tapered type 直径3.4mm/長さ14mm(京セラ)を選択した。


右側側切歯の抜歯後の所見。唇側の骨を温存することが最重要で、できるだけ愛護的な抜歯を心掛ける。明らかな感染巣はない。


Landmark Guide マルチガイド(iCAT)を適合させた所見。

エクスパンジョンを行い、FINESIA HA Tapered type 直径3.4mm/長さ14mm(京セラ)を埋入する計画を立てた。


Landmark Guide マルチガイド(iCAT)を適合させ、2mmのパイロットドリルでドリリングを行っている所見である。


Landmark Guide マルチガイド(iCAT)を用い、マルチガイド用の直径2mmでドリリングを行っている。ガイドキーを装着することで位置、方向が制御される。


BOSボーンスプレッダー(京セラ)で2mmインプラント形成窩を押し広げることでインプラント埋入に必要な窩洞を形成する。骨の幅がないときに有効となる。

Step1 BOSボーンスプレッダー#1先端系1.1mm・ボディ部2.5mm


Step2 BOSボーンスプレッダー#2先端系1.4mm・ボディ部2.9mm

手指でのエクスパンジョンが困難になれば、トルクレンチを用いて押し広げることになる


Step2 BOSボーンスプレッダー#2先端系1.4mm・ボディ部2.9mm

手指でのエクスパンジョンが困難になれば、トルクレンチを用いて押し広げることになる。


Step2 BOSボーンスプレッダー#2先端系1.4mm・ボディ部2.9mm

トルクレンチを用いて押し広げる所見。


BOSボーンスプレッダーによるインプラント埋入窩の形成後、位置、方向、深さがきちんと形成されているか否かを3mmのマルチドリルで確認されている。正確に形成されていれば、骨を切削する抵抗はない。


3mmのマルチドリル挿入時(iCAT社)。正確に形成されていれば、骨を切削する抵抗はない。


インプラント埋入窩形成後、インプラントの埋入を行う。

インプラントタイプ及びサイズ:FINESIA HA Tapered type 直径3.4mm/長さ14mm(京セラ)


インプラント埋入時。インプラント体がガイドに誘導されながら適切な位置・方向で埋入される。


インプラントの埋入後の口腔内所見。抜歯窩にインプラント体が埋入されているのが観察できる。既存骨とのギャップはほぼないが、コラーゲン・HA複合体 リフィット(京セラ)をインプラント体の周りに填入して、より確実な埋入とする。


ヒーリングアバットメントの装着後、縫合して手術とした。

手術内容:右側上顎側切歯(#12)インプラント埋入術 抜歯即時・エクスパンジョン症例
埋入インプラント:F 3.4X14
埋入トルク:25N/cm
麻酔:笑気鎮静・モニター下
局所麻酔:2%キシロカイン(1/80,000Epi) 3.6ml
手術時間:10分


埋入後、デンタルX-Pにて状況の確認を行った。予定された部位に埋入されている。臨在歯との距離の関係も含めて、正確な位置に埋入されている。フリーハンドでは絶対に正確な埋入はできない。


印象採得時と最終補綴物装着時確認Dental X-P


最終補綴物装着時の口腔内所見

「中田デンタル・センターのコメント」
審美を非常に気にされていた患者様だったのでPVLにて患者様としっかりコミュニケーションをとって挑んだ。
支台歯の変色もなかったのと、万が一の左上2ベニヤの修正を考慮したうえでe-maxを選択した。一見イージーケースだと思ったが左右対称性を非常に意識されており、その点を意識して作成した。セット時、非常に満足されて頂いた。


最終補綴物装着時の口腔内所見

治療前は、前歯にコンプレックスを持っており、笑顔が作りにくかったのが治療後、前歯の他部位を含めて治療したことでコンプレックスも解消し非常に喜んでいただいている。

 

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