右側上顎側切歯(#12):歯根嚢胞。左側上顎中切歯ならびに側切歯(#21,#22)が歯根端切除後再発にて温存不可能。左側犬歯(#23):歯根嚢胞。
歯根端切除術とGBRによる骨造成を併用したインプラント埋入
上記の診断にて、まず前歯部のブリッジを抜歯・除去し、3か月待って、インプラント埋入、歯根端切除術ならびにインプラント埋入を計画した。
3DCTによる同部の画像所見:
右側上顎側切歯(#12)も歯根嚢胞と左側犬歯(#23):歯根嚢胞を認める。
左側上顎中切歯ならびに側切歯(#21,#22):歯根端切除後再発部は温存不可能と診断した
CT画像。骨の厚みがほとんどなくインプラントを埋入するのに必要な骨が十分にないのがわかる。また#23は歯根嚢胞が存在し、歯根端切除術が必要と考えた。
LANDmarker(iCAT)にてシミュレーションを実施し、エキスパンジョンと骨造成を併用することもありマルチガイドにて2mmならびに3mmのドリルで埋入窩のドリリングを行うが、切開のためにどどこにインプラント体が出てくるのかをマーキングしている。
インプラント埋入位置を確認して粘膜骨膜切開を加え、粘膜骨膜弁を作成した。骨面が十分に剥離されえているのがわかる。この時に骨面をこすりつけるように粘膜剥離子を用いるのが重要である。
右側上顎側切歯の根尖病巣(歯根嚢胞)に対しての歯根端切除術を行った。通法に従い、ラウンドバーで骨の削合を行い、病巣を摘出、感染源を除去している。
2mmのパイロットドリルでインプラント窩の形成を行い、その後、エキスパンダーで骨を広げるようにエキスパンジョンを行い、インプラント窩を形成してからインプラントの埋入を行っている。右側中切歯部の埋入。Fendiインプラント(京セラ) HA Tapered Bone level 埋入サイズ:直径3.4mm/長さ14mmをに埋入している。
同様の埋入を左側中切歯ならびに側切歯部にも行っている。埋入後、左側中切歯ならびに側切歯部でインプラント体の一部の露出が見られる。埋入トルクは#11で25N/cm, #21で10N/cm,#22で10N/cmであった。
インプラント体が埋入され,骨造成を行っている所見。人工骨により頬側骨の補填も行っている。人工骨はアパセラム-AX(京セラ)とアローボーンβ 250μmm~1000μm(ブレーンベース)を混合し使用した。その表層にティッシュガイドを覆い縫合を行う。
印象採得時ならびに最終補綴時のX-P所見。
最終補綴物装着時の口腔内所見:
骨欠損の状態からどうしても右側に比べ、左側の歯冠が長くなっているが、患者さんのリップラインでは思い切り、笑ったとしても歯肉は見えないため、患者さん自体非常に喜んでいただけた。歯根端切除を行った歯牙も補綴でき満足いただけたと考えている。
最終補綴物装着時の口腔内所見:
術後は良く噛めて機能面も十分に回復でき、患者さん自身も非常に喜ばれていました。他の不良補綴物や対側のインプラント治療も今後、行っていきたいとのことで、良かったと思っている。