下顎多数歯欠損インプラント症例ケース04

右側下顎第2小臼歯(#45)の歯牙破折、第2大臼歯(#47)の根尖性歯周病(同部のブリッジ破損、脱落)ならびに左側第1,2大臼歯(#36,37)の欠損症例

(40歳代 女性)

右側の臼歯部のブリッジが第2大臼歯のトラブル(詳細不明)とともに脱落、前医により外されている。左側は義歯が装着されているが、きちんと噛めるようになりたいので、インプラント治療による咬合の再建を求めて当クリニックを受診された。両側臼歯部が欠損しており、咀嚼機能の低下が認められた。

歯槽骨が上方部で細くなっており、固有歯肉の幅が狭く、右側についてはサーキュレーションメスで、左側については粘膜切開を行い、固有歯肉のインプラント周囲への確保を行うなどの説明を行った。


LANDmarker(iCAT)の画像。補綴主導を意識し埋入位置を計画した。


LANDmarker(iCAT)による埋入シミュレーション画像。これはパノラミック断面のレイサム画像。

右側下顎第2小臼歯(#45)は神経の出口(オトガイ孔)に近く、第1小臼歯(#44)にも近いため注意が必要である。


LANDmarker(iCAT)による埋入シミュレーション画像。右側下顎第2大臼歯部(#47)。抜歯窩が診える。初期固定を得るためにも骨の多いところを選択しているが、それだけでなく補綴主導にも配慮している。


LANDmarker(iCAT)による埋入シミュレーション画像。右側下顎第1大臼歯部(#46)。


LANDmarker(iCAT)による埋入シミュレーション画像。右側下顎第2小臼歯部(#45)。

オトガイ孔に近い部位であることが分かる。抜歯即時埋入になることから、サージカルガイドを活用しドリルを適正位置でストップさせる。


LANDmarker(iCAT)による埋入シミュレーション画像。左側下顎第1大臼歯(#36)。


LANDmarker(iCAT)による埋入シミュレーション画像。左側下顎第2大臼歯部(#37)。


Landmark Guide 的心ガイド(iCAT)を口腔内に装着、適合させ、サーキュレーションメスで歯肉を切開している。第1,2大臼歯(#46,47)部で直径4.7mm.

第2小臼歯部(#45)で直径4.2mmのインプラントを埋入予定であるがキーガイドを用いて1サイズ小さめの直径3.7mmならびに3.4mmのサーキュレーションメスで切開を行っている。(右側)


右側第1大臼歯部(#46)サーキュレーションメスでの固有歯肉の切開。後方の第2大臼歯部(#47)ではサイドエントリーの設定で開口量が少ない方に対応されているのがわかる。


右側のサーキュレーションメスでの固有歯肉を切開した口腔内所見。出血はほぼない。第2小臼歯部の切開が見えないが、口腔内でも見えにくい部位であり、このような部位での切開やインプラント埋入を正確にするためにもガイドは必須である。


右側のサーキュレーションメスでの固有歯肉切開後、歯肉を切除した際の口腔内所見。出血は骨面より、少量ある。固有歯肉の幅とインプラント周囲にその固有歯肉の確保が確認されなければならない。


Landmark Guide 的心ガイド(iCAT)を適合させ、最終径4.7mmに対してキーガイドを装着して、的心パイロットドリル 直径3.7mm用でインプラント埋入窩を形成する。


最終径4.7mmに対して的心ガイドを装着して、的心ガイドドリル 直径4.7mm用(京セラ)でインプラント埋入窩を形成している所見。


的心ガイドを装着して、直径4.7mm的心ドリルでインプラント埋入窩を形成している所見である。ガイドの内面にドリルの外面がきちんと沿ってドリリングがされていることがわかる。


第1大臼歯部(#46)にFINESIA Bone level HA Tapered 直径4.7mm/長さ12mm(京セラ)のインプラントを埋入する際の口腔内所見。ストッパーにより適切な深度に埋入される。


インプラントを埋入時の口腔内所見。ストッパーにより適切な深度に埋入される。


第2小臼歯部(#45)にFINESIA Bone level HA Tapered 直径4.7mm/長さ12mm(京セラ)のインプラントを埋入している。


第2小臼歯部(#45) のインプラントを埋入時。ストッパーにより適切な深度に埋入される。


右側でのインプラント埋入後の口腔内所見。

FINESIA Bone Level HA Tapered type(京セラ)直径4.7/長さ10mm(第2大臼歯#47)、直径4.7/長さ12mm(第1大臼歯#46) 、直径4.7/長さ10mm(第2小臼歯#45)の3本が埋入されている。第2小臼歯は抜歯即時埋入であるが既存骨とのギャップはほとんどなく問題ない。


左側の粘膜切開の所見。サーキュレーションメスで歯肉にインプラント形成窩の切開部位を印記して、可動粘膜との関係を確認後、粘膜切開を行う。

粘膜にうっすら円形のサーキュレーションメスを用いた場合の切開線が確認できる。


粘膜骨膜弁の作成後、各々のドリルにて通常通り、ドリリングを行い、その後、インプラントを埋入している。左側第1大臼歯部(#36)が、的心ガイド(iCAT)を用いてドリリングされ、的心用のインプラント埋入ドライバーで埋入を行っている際の所見。


左側でのインプラント埋入後の口腔内所見。

FINESIA Bone Level HA Tapered type(京セラ)直径4.7/長さ12mm(第1大臼歯#36)、直径4.7/長さ10mm(第2大臼歯#37) の2本埋入している。歯槽提、歯槽骨の幅が少なく、切開を行うことでインプラント周囲に固有歯肉を確保する。


インプラント埋入後、ヒーリングアバットメントを装着、粘膜の切開により固有歯肉がインプラント周囲に確保できている。


両側下顎臼歯部に埋入を行い、ヒーリングアバットメントを付けた口腔内所見。出血などはほとんどない。

手術内容:右側下顎第2大臼歯(#47)第1大臼歯(#46),左側第2小臼歯(#45)
左側下顎第1大臼歯(#36),第2大臼歯(#37) インプラント埋入術
埋入トルク:15N/cm(#47),15N/cm(#46), 15N/cm(#45), 20N/cm(#36), 10N/cm(#37)
麻酔:静脈鎮静・モニター下
局所麻酔:2%キシロカイン(1/80,000Epi) 11.4ml
手術時間:59分


埋入後、パノラマX-Pにて状況の確認を行った。予定された部位に埋入されている。


最終補綴時の確認 デンタル X-P


最終補綴物装着時の口腔内所見。

治療後噛めるようになったと喜んでいただけた。


最終補綴物装着時の口腔内所見。

術後。右側の第2大臼歯は抜歯して、即時埋入とした。埋入から最終補綴(上部構造の歯の部分が入ること)までの期間が3か月あり、その間は左側の旧義歯でどうにか食事などをしていただいていた。補綴後は、両側の奥歯で、しっかりとなんでもおいしく噛めると喜んでおられた。

 

ピックアップ記事

  1. テルダーミス真皮欠損用グラフト
    インプラント周囲には固有歯肉(角化歯肉)が存在する方が望ましい プラークの除去が用意になる…
  2. 【Q】インプラント周囲の角化組織(固有歯肉)は必要なのでしょうか?またどれくらいの幅が必要か…
  3. リッジ(ソケット)プリザベーションが大切である理由抜歯後の硬組織の吸収が大きく(抜歯後6ヶ月の平…
歯科医院ホームページ作成
PAGE TOP
CLOSE
CLOSE