上顎臼歯部少数歯欠損インプラント症例ケース02

ソケットリフトをどうしても回避していただきたいという要望がある患者さんに対してショートインプラントで対応した症例

 

伝えたいポイント

  • ショートインプラントの選択基準
  • 的心ガイドの有用性
  • ソケットリフトかショートインプラントか

 

左側上顎第1大臼歯(#26)欠損に対してソケットリフトを回避し、ショートインプラントの傾斜埋入で対応した症例
(30歳代 女性)

 

他院で歯牙破折と根尖性歯周炎を指摘され、抜歯、ブリッジを提案された。ブリッジは、嫌だということで、当クリニックに来院した。
上顎洞までの距離が約8mmと狭く、ソケットリフトによる骨造成が必要であることをお話しした。しかし、上顎洞に骨を入れることがどうしても受け入れられないということで、短いインプラントでどうにか対応をしてほしいという希望があった。
シミュレーションして相談ということになり、シミュレーションを実施した。
インプラント埋入手術を行い、4か月後に上部構造(歯の部分)が装着され咀嚼機能の回復ができ、喜んで頂けた。

 


 

LANDmarker(iCAT)にてワックスアップを取り込み、上部構造の位置を確認しながら埋入シミュレーションを実施。既存骨の位置と補綴の位置と考慮し良好なポジションを選択。

  • 本患者さんの左側第一大臼歯の歯冠は、第2大臼歯に比べても小さく咬合力の負担が比較的少ないことがうかがえる。この要素もショートインプラントで対応することを決める要因であった。
  • 同様の理由ではあるが歯列不正(叢生)もあり、その点でも、咬合力の負担は少ないと判断した。

 


 

LANDmarker(iCAT)による埋入部位のCT画像。インプラントはφ4.7mm/L8.00mmである。
上部構造の位置・骨の形態を考慮して、患者の希望である短いインプラントによるソケットリフトの回避ができると判断した。

  • 直径5.2mmを選択することも考えたが、第一大臼歯の歯冠の大きさが小さくサブジンジバルプロファイルを考えても直径4.7mmでも十分であること、周囲の骨の骨質を加味して選択した。
  • 口蓋頬側の幅はあるものの臨在歯との幅はタイトであり、ガイドを用いることが有用と考える。

 


 

Landmark Guide 的心ガイド(iCAT)を装着している所見。
固有粘膜がサーキュレーションメスで切り取る歯肉の周囲にあることも確認する。

 


 

FINESIA HA Bone Level Tapered 直径4.7mm/長さ8mm(京セラ)を計画。サーキュレーションメスにて、インプラント周囲の固有歯肉の幅を確認しながら、歯肉を切開、除去した。

  • このような症例で固有歯肉の幅が十分に確保できないことは致命的なインプラント周囲炎を惹起するので十分に留意したい。

 


 

的心ドリルのステップについては省略するが通常のごとく、スタートドリルから始めて4本のドリルでインプラント窩を形成した。

 


 

インプラントを埋入する。インプラントタイプ及びサイズ:FINESIA HA Bone Level Tapered 直径4.7mm、長さ8mm。トルクは30N/cmであった。

 


 

インプラント埋入時のパノラマX-P画像(拡大図)と上部構造(歯の部分)を装着した際の確認デンタルX-P所見。

  • ソケットリフトは比較的安全に行える骨造成法の一つであり、まずトラブルになるようなことはないと考える。しかし、患者さんによっては、上顎洞に人工骨などを入れる手術がどうしても受け入れられない方もおられるため、そのような場合にはショートインプラントを応用する。傾斜埋入も考えたが、傾斜埋入で10mmを入れることでどれだけ予知性が向上するかは疑問である。

 


 

最終補綴物装着時の口腔内所見。
スクリューリテインの補綴としている。第1大臼歯は、咀嚼機能の要でもあり、その機能回復は重要である。8mmのショートインプラントではあるが、上部構造の装着後、約1年がたっているが問題なく機能している。

 

 

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