頸部郭清術により得られる頸部の組織標本は、的確にレベルごとに分類され、どのレベルに転移があったのかを正確に把握する必要がある。
施設によっては、標本をそのまま、病理部に提出するということも、数十年前は行われていたが、現在はそのような施設がないと信じたい。
頸部郭清のレベルごとの病理組織学的な検索は、転移様相が予後不良の予測に役立つ居から、慎重に行われなければならない。
頸部郭清術標本による病理組織学的検索において頸部リンパ節転移が認められた場合、多発性頸部リンパ節転移、複数レベルのリンパ節転移、遠位レベルの転移、被膜外浸潤リンパ節転移を有する場合に予後不良となる。
すなはち、手術で摘出した標本を各ラベルに分類して各々のレベルのリンパ節を顕微鏡レベルで病理組織検査をして、再発の可能性が高い症例を選択し、再発の可能性が高いことが予想される症例に対しては、必要に応じて術後に抗癌剤と放射線療法を組み合わせた化学放射線治療や術後の抗癌剤治療を行い、再発を防ぐ手立てを講じことになる。
頸部郭清標本は6面体の組織として切除される。その位置関係を壊さないように、処理される。
SCMを外し、標本の位置関係を維持するようにレベルごとに分けていく、全頸部郭清術では副神経、内頸静脈などがメルクマールになる。
レベルごとに分けられた組織は、各々の領域ごとの組織からリンパ節が摘出される。