◎超音波骨切削機器による口腔外科領域低侵襲手術
適応症例
抜歯 下顎隆起除去術 インプラント関連手術(サイナスリフト、スプリットクレスト、骨採取)
顎骨嚢胞、歯性上顎洞炎における歯根端切除
顎変形症 顎骨腫瘍(歯肉がんなど)顎関節腫瘍、顎関節強直症
超音波骨切削機器とは?
従来のボーンサージェリー(マイクロソー等)と比較し、精度と安全性が飛躍的に高めるツールとして、イタリアのTomaso Vercellottiによって開発されました。
超音波骨切削機器と従来法の違いとしては、①従来のソーやドリルに比べて動作幅が細かい、②3次元的に動作、③動作が細かく速いことにより、切削能力を落とさず、 精度の高い骨きりが可能ということが挙げられる。
ピエゾサージェリー
従来のソー
その他、ソーやドリルの場合には、振動や回転やによる器具、インスツルメントの過熱は避けられず、そのため骨組織の火傷=組織の損傷が生じる。これに対してピエゾサージェリーでは温度上昇は少なく、これによる組織へのダメージが極端に抑えられる。
また、従来の超音波スケーラーとも異なり、周波数が50KHz以下に抑えられているために、軟組織に損傷を与える可能性も非常に低くなっている。我々の口腔外科領域でしばしば、その周囲にまで手術範囲が及ぶ 神経に関してもピエゾサージャリーで誤って神経に接触したとしても組織損傷がないことが病理組織学的な検討でも報告されている。
抜歯における超音波骨切削機器の利点
抜歯における超音波骨切削機器の優れている点としては、①頬側の骨壁が薄い症例で歯槽骨を保つことができる、②骨性癒着の抜歯で歯根表面を切削でき、抜歯が可能である、③キャビテーション効果で止血するため術野が保てる、④下顎管の付近での根尖の抜歯に応用できる。などが挙げられる。
下顎隆起や、インプラントの骨造成の際に口腔内から、骨を採取する場合においても、①正確でシャープな骨切りができる。②周囲の軟組織を傷つける可能性が低い。③神経の周囲で使用しても損傷のリスクが抑えられる。④キャビテーション効果で出血による妨げが少なく、術野が見やすい。などの利点がある。
インプラント関連手術
ピエゾサージェリーによる上顎洞へのアプローチ、特にサイナスリフト症例においては、そのシュナイダー膜への穿孔(パーフォレーション)の割合が明らかにドリルよりも深いと相克されている。
顎骨囊胞・歯性上顎洞炎における歯根端切除術
顎変形症・腫瘍切除・顎関節手術 については別項で述べる。